一般人、その他

2009年2月12日 (木)

官製アイドル/セキュリーナ

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来年の今頃、まだこのブログが続いていれば、おそらく今日のエントリを振り返ることになると思う。

セキュリーナというのは経済産業省の「CHECK!PC」キャンペーンのキャラクターである。コンピューターウィルスに気をつけましょうという趣旨で、昨年は同じキャンペーンを上戸彩を起用して実施していたのだが、今年は別のアプローチを考えたのだろう。というより、別の代理店の企画を採用しただけかも知れないが。

ひと通り(義務感で)キャンペーンサイトを見ての私の感想は、「こんなの必要あるか?」である。わざわざこんな子供だましのキャラクターを作らなくても、もっと普通にセキュリティ対策の重要性を訴えたって良いではないか。何なのだ、ブログパーツまで用意して。パーツから感染したらシャレにならんぞ。

官庁の仕事なので当然複数の代理店のコンペになったのだろうが、あえてタレントを使わず「自家製」キャラクターを作るというのは、企画書的にはウケそうである。PCのセキュリティを守るのがテーマだから、ブログパーツで認知をはかろうという考えもそれ自体は悪くない。しかし、だからといって「じっくり見てみよう」という気にならないのだ。何だろう、失礼を承知で言えば「予算消化」っぽい仕事なのである。

広告会社にとってお役所の仕事は「美味しい」の一語に尽きる。まず「効果が問われない」。クライアントが一般企業だったら、大金を使わせて広告を作り、売上が上がらなかったら代理店は責任を問われる。もちろん代理店は売上を約束しているわけではないが、そういうものなのだ。さらにお役所の仕事は意外に、「予算が悪くない」。以前、某官庁で制作している啓発ビデオを見たことがあるのだが、誰が見るのか分からない教材に、全国的な知名度の俳優が何人も出ていてびっくりしたものだ。担当者は「ギャラは安いですから」と言っていたが、そんなものを作れるだけで大したものではないか。そして最後に、「お役所はつぶれない」。お金を取りっぱぐれることが絶対にないというのは、このご時世、なにものにも勝るメリットと言える。

だから、というのは無理があるかも知れないが、セキュリーナのアイデアも「これで日本国民のセキュリティ意識を高める!」という意気込みのようなものが感じられない。代理店が予算内で作ったものを「納品」したような印象なのだ。経産省に意地があるなら、今後セキュリーナを継続的に使って、このキャラクターを育てていくべきだろう。だから今回は冒頭に「来年の今頃」を予想するようなことを書いたのだ。来年、もしセキュリーナがどこかへ行ってしまって、まったく違うキャラクターやタレントで同じキャンペーンが張られていたら、私はやはり「予算消化だなあ」と思うに違いない。

Sec

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2009年1月17日 (土)

はずすと怖い結婚CM

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最近は各地の結婚式場や結婚関連のサービスが、それぞれに力の入ったCMを作っている。もう3年ほど前になるがマリエールが「40人40色の恋愛模様」と題して、HPの中になんと40人の女性の恋愛観を動画に収めて公開するページを作った。「普通の人」を大勢キャスティングする手法は、JPの「未来の自分に書く手紙」キャンペーンなどにも影響を与えていると思うが、それはまた別の話。とにかくマリエールに刺激されたのか、ありきたりなCMしか作っていなかった結婚業界がやたらCMに凝り始めた。

結婚関連は地方CMが多いので一地方にいると全部を見られないのだが、今は動画サイトのおかげで、普段着がいまいち似合わない野間口徹の「Go Happy」や、花嫁がエレキギターを弾くグランドティアラのCMも見ることができる。森絵梨佳と渡部豪太のゼクシィのCMは全国で見られるのかと思ったら、Webサイトには「首都圏版」とある。知らない人には申し訳ないが、いずれのCMもそれぞれに幸福感を表現したシナリオで、ちょっと胸にくるような演出があって、よくできていると思う。

と、誰もが思うわけではないらしい。検索して世間の声を見てみたら「バカじゃないか」「ふざけている」と、共感どころか批難ゴウゴウの結婚CMもある。「たかがCMにそんなに目くじら立てなくても」と思うのだが、とくに女性はまったく容赦しない。「あんなのを放送する神経が信じられない」と、気に入らないものは人格全否定である。まさに「自分の大切なものを汚された」ような怒り方なのだ。

おそらく、批判コメントの多い結婚CMは「男目線」なのだと思う。といっても男がエラソーだとか、男に都合のいいストーリーとか、そういう意味ではない。女性の結婚に対するこだわりや憧れに敬意を払っていない、単に面白さだけを狙ったCM作りに対して女性は「カチン」と来るのではないかと。

どうせなら、花嫁がただ単純に可愛いとか、そういうCMのほうがいいのかも知れない。ゼクシィの加藤ローサバージョンなんかいいではないか。検索してみたが、とりあえずこのCMに対する批判的なコメントは目につかなかった。こういうのでいいんだよ、うん。

Rosa

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2008年12月10日 (水)

猫ブーム/にゃらん

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レナ社長、はっちゃん、スーパー駅長たま。何のことか分からないという人はちょっと時代から遅れていることを自覚したほうが良いだろう。猫である。しかもいずれも自分の写真集を出しているアイドル猫である。その写真集は書店でペットコーナーには並んでいない。アイドル本のコーナーに置かれているのが普通である。

前述の猫たちはもっぱら自分の飼い主のために働いているが、テレビCMに出て企業のイメージキャラクターの仕事をしているのは雑誌『じゃらん』の「にゃらん」である。少し前のCMではただ旅をして温泉に入るだけのにゃらんであったが、今放送中のバージョンはにゃらんが彼女(もちろん猫)とのデートの下見に旅館を訪れ、二人のお揃いのガウンが壁にかかっているのを想像するという、なんだかいけない方向にエスカレートしている。こういうの、人間のタレントがやったら「ヤダー」と眉をひそめられそうだが、猫ならば笑って許してもらえるのである。これこそが動物タレントをキャストする理由と言えよう。動物には、人間の営みのナマナマしさをマイルドにする働きがあるのだ。

昨今の猫ブームの面白い点は、注目を集めている猫(ニャンドルともいうらしい)たちの多くが、特に血統が優れているわけでもない雑種だということだろう。しかも「ブサイク猫」というジャンルもあって、どう見ても可愛くない、ふてぶてしい大猫がカレンダーになったりしているのである。「あんな猫、どこが可愛いの?」と知らない人は思うだろうが、これこそが今の猫ブームの本質だと思う。ブログやYOU TUBEといったCGM(消費者生成型メディア)発の現象の特徴でもある。毎日マメに更新される猫ブログで、「ファン」は猫に人(猫)格のようなものを感じており、そうなるとブサイク猫もただのブサイクではない。いわば見る人すべてが「飼い主目線」でその猫を見ているのだ。

ところでレナ社長への出演交渉は誰にすればいいのだろう。やっぱURA EVO氏? ココログさんが窓口になったりとか?

Nya

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2008年11月14日 (金)

職人のキャスティング

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日産ムラーノのCMに「現代の名工」として「クレイモデラー」なる職人が登場している。車を制作する過程で実物大の模型を作るということは知ってはいたが、カンナのような道具で、粘土模型を削っているとは思わなかった(なんとなく子供の粘土細工のように、塊をペタペタくっつけて形を整えていると思っていた)。CM映像だからスタイリッシュに映っているのだろうが、さすがに職人の仕事ぶりというのは美しい。顔だって男前ではないが「いい顔」である。

開発段階に携わった人をCMに出す効果は、まず会社そのものの信頼感アップだろう。優れた人材がいるというのはそれだけで資産である。と、分かる人には分かる。もうひとつあるとすれば、ある種のストーリー生成の作用だろうか。商品に関心を持ってCMを見る人は、「これが世に出てくるには、こういった人々の努力があったのだなあ」と、思いを馳せることができる。そうやって、カタログスペック以上の思い入れを持たせることができれば、CMとしては成功だろう。

ところで、知らない人に言うと「たしかに!」と感心されることが多いのだが、日産はCMに有名タレントをほとんど使わない。2年前にスカイラインのCMにイチローと渡辺謙を使ったのと、今年ティアナのティザー広告でトヨエツと檀れいを使ったのが例外と言えば例外である。カルロス・ゴーン社長就任以来の「広告の主役は車であるべし」という方針によるらしいが、そういった、ポリシーを持った会社は好きである。

まったく関係ないが、日産の「ムラーノ」は村野さんが作った車で、「ティーダ」はT.飯田さんが作った車だと思っていたら、前者はイタリアの島の名、後者は沖縄の方言で「太陽」らしい。これ、消費者に「もしかしたら」と名前の由来を想像させようという意図を感じるのだが、どうか。

Claymodeler

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2008年10月31日 (金)

販促の切札/リラックマ

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人間ではないし、「キャスティング」という言葉はあてはまらないかも知れないが、しかし実写CMでゴクミや田中麗奈と「共演」しているのを見ると、もはやひとつの人格が生まれているようにさえ思えてくる。考えてみれば、キティやミッフィーに明確な性格付けはなされていない。単純に「可愛い」だけの造形である。たれぱんだもぐうたらなイメージはあるが、言葉を発するわけではない。それにひきかえリラックマはしゃべるのである。フキダシはつかないが、つぶやくように言葉を発する。しかもちゃんと敬語が使えるのだから知的レベルも高いのである。

とにかくリラックマ、今や販促のキャラクターに引っ張りだこである。ローソンはコラボ商品も出して「リラックマフェア」を全国展開しているし、伊藤園では商品のオマケの携帯ストラップに使われ、オカモトからは何とパッケージにリラックマがプリントされたコンドームが発売された。なにしろプリントして商品にくっつけるだけで売上が上がるのだから、数字が命の営業部門の人にとっては救世主である。日夜商品の付加価値を高めるべく知恵を絞っている開発部門の人からすれば、「俺の仕事って何なの?」と疑問を抱かせる存在かも知れないが。

リラックマのキャラクター使用の極めつけは、東京都西部を走る立川バスの「リラックマバス」であろう。車体の外側をリラックマでペイントしてあるのだが、それだけではない。車内のシートにもリラックマがだらりんとお昼寝しているのである。オレンジとキャラメル色のリラックマカラーの車内は、ファンならば胸がきゅううんと萌え音を発すること間違いなし。営業帰りのサラリーマンが偶然乗り合わせてしまったらそのミスマッチ感は悲劇であるが、仕事ですさんだ気持ちも少しは軽くなるかも知れない。

こういったキャラクターのキャスティング(?)には、おそらく人間の売れっ子タレントと同じくらいの契約料を払わねばならないだろう。しかし、リラックマはわがままを言わないし、失言してひんしゅくを買うこともないし、突然FAXを送りつけて妊娠したとか休業するとか言いだすこともない。これが実は大きい。「リスクがない」というメリットは、今や何ものにも代えがたい価値なのである。今後不況に入り、広告もいっそう厳しく投資効果が問われるようになると、人間のタレントよりもリラックマのような「安全な」キャラクターが重視されるのではないかと思う。

Kuma

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2008年10月13日 (月)

思いやりねえ・・・

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最近、気になるCMがある。JTの企業CMで、英国に出張した日本人が出てくるやつである。ただ、ここで言う「気になる」はあまり良い意味ではない。

場所はロンドン。大きな荷物を持った日本人男性が建物に入ろうとすると、たまたま先にいた子供がドアを開けて待っていてくれる。一瞬驚く日本人、ナレーションがかぶる。「ロンドンでは、次に来る人のためにドアを開けて待っていてくれる。人を思いやるという習慣が、深く根づいているのだ」。

そこまではいい、「気になる」のはその後である。通してもらった日本人は 「サンキュー」とか言って、すたすた行ってしまうのだ。おいおい、自分はドアを開けて次の人を待ってやらないのか? よく見るとすぐ後にも人が来てるぞ! お前、ロンドンの慣習に感動してるだけかよ!(最後に別の場所でその日本人がドアを開けるシーンがあるにはある)

その後、英国人がドアを押さえて人を通してやる映像がいくつか映るのだが、通してもらった人はみんなそのまま行ってしまう。ドアを開ける人は、さながらドアマンのようにずっとドアを押さえたままである。誰も代わってやらない。思いやりが根付いているなら、ドアを押さえる人は次々変わるはずではないのか? どのカットも絵になっている分やらせっぽさが際立つ。本当にロンドンっ子は次の人のためにドアを開ける習慣があるのか?と検証したい気持ちになる。「世界の果てまで行ってQ」に投稿してやろうか。

だいたい、ロンドンまで行かなくても日本人だって次に来る人のためにドアをおさえて開けるくらいのことはする。偏見かもしれないが、「外国で素敵な体験をした」ことを自慢げに語る日本人には、不当に日本を低く見るタイプが多いように思う。このCMにはそういうイヤミな「洋行帰り」の空気がプンプン臭う。感心しないなあ。

Jtcm

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2008年10月 5日 (日)

女子大生プロジェクト

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リクルートスーツの広告キャラクターといえば、戸田恵梨香、松浦亜弥、堀北真希、上戸彩。就活世代に人気の高い女性タレントが「彼女目線」で男子を応援してくれる。実に分かりやすい。しかし各社の足並みの揃い方がなんとなく可笑しい。そこまで横並びでなくてもいいだろう。まさか業界内の会合で「今年はこういう広告でいくように」と決められているわけでもないだろうに、一社だけ目立ったことをしにくい業界なのだろうか。

と、疑問を持ったのかどうか知らないが、戸田恵梨香を使っているはるやまが「女子大生100人プロジェクト」なるものを始めた。戸田のCMも継続しているようなので、イメージキャラクターを女子大生にチェンジするのではないようだ。テレビCMでは女子大生が顔出し、名前出し、学校名出しで大勢登場し、「私たちのこだわりスーツがマジでできるから待っててね~」とメッセージを投げかける。いやはや。今後スーツが完成したらきっと「女子大生が企画したCM」が流されるのだろう。そんな気がする。

こういったCMに使う女子大生をどうやって集めるかというと、大学の広告研究会の力を借りることが多い。広告代理店の社員はそういうクラブの出身であることが多いので、後輩には頼みやすいのだ。あるいは大学の中に「口きき屋」のような学生がいることもあり、「女子大生を××人集めてほしい」というときっちり揃えてくれたりする。もちろん有料であり、女子大生の日当から手数料を抜く者もいる。こういった「ビジネス」で味をしめ、そのまま事業家になる者もいる。

話を戻して、この「プロジェクト」の狙いは何なのだろう。一般の声を集めて開発に生かすのは分かる。「売れるヒントは女子大生にあり」という考えもアリかも知れない。ならば、リサーチをかければすむではないか。メンバーを公募してまで盛り上げる必要があるのだろうか。そもそも、就活男子は女子大生にモテるためにスーツを着るのだろうか。モテたい男子はブランドもののスーツを買うと思うが(それ言っちゃ身も蓋もないが)…。

ならばこれに対抗して、「人事担当者が作ったスーツ」というのはどうだろう。たぶん地味で面白みも何もない商品が出てきそうだが、そちらのほうがロジックとしては通っていると思う。紳士服会社の担当者様、よろしかったら企画書をお持ちしますよ。

Hrym

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2008年10月 3日 (金)

未来の自分に書く手紙

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日本郵便が10月から「未来の自分へ手紙を書こう」というキャンペーンCMを流している。これ、結構好きである。CMでは中高生が自分の暮らしている町や、学校や、海や、山で「未来の自分」に向けて手紙を読む。それだけである。それだけだから、いい。

サイト内のCMギャラリーで、いろいろな中高生が手紙を読む映像をまとめて見ることができる。将来の夢をはっきり語る子がいれば、何も打ち込めるものがないという子もいる。女の子は結婚して主婦になっている姿を描いている子が多い。男はまだ甘いかな。未来の自分に「彼女はできていますか」とか「背が高くなるように頑張る」とか、ほかに言うことはないのか(笑)。よく言われるが、この年頃は女の子のほうが圧倒的に大人だ。中には大人過ぎるというか、「子供の前ではけんかしないで、絶対離婚しないでください」などと言う女の子がいて、ドキッとさせられる。

ともあれ、稚拙であろうが、カッコつけてようが、みんなちゃんと自分の言葉で手紙を書いている。まだ世間というものを知らない彼らを見ていると、気恥かしさとともに胸が小さく痛む。あの頃の未来に僕らは立っているのかなあと、懐かしい歌が頭をよぎる。

一般公募型のキャンペーンだからということはあるが、このCMにタレントを使わなかったのは正解だと思う。普通の、どこにでもいる中高生たちを登場させることで、すべての人が人生という長編ドラマの主人公であることが伝わってくる。望もうと望むまいと、尻ごみしようと挑もうと、人生は続く。続いた結果としての自分がここにいる。

未来のだれかに手紙を書くという企画は、実は何ら目新しくはない。一番最近では北京パラリンピックの閉会式で少女が未来へのポストに手紙を入れる演出があった(らしい。ワタシは見ていないので)。このCMの検索ワードは「未来の手紙」だが、「未来への手紙」で検索すると似た企画がどどっとリストアップされて苦笑(だから「への」にしなかったのか)。優れた広告表現がありきたりな企画を救う事例でもある。

Jp1

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2008年9月13日 (土)

年齢が有名/城嶋協子

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プロだと思ってCMを見ていたら実は素人だった、ということがある。たとえば数年前、永谷園のCMでガツガツとお茶漬けを食べていた男性は広告代理店の社員であった。

素人キャスティングには「役員モノ」というジャンルがある。と、ワタシは思っている。リーブ21、ジャパネット、APAグループ、セガの湯川専務シリーズがそうだ。役員が出るなら出演交渉をしなくて済む。それで売上まで上がるなら、広告主にとっては願ったりかなったり、タレント事務所にとってはもっとも厄介な競合相手と言えよう。

最近よく目にするDr.リセラの広告は、女性の常務取締役がモデルとして出ている。こちらは役員がモデルをしているというよりも、モデルが役員をしているといった趣である。この広告の仕掛けは、常務の写真やCMに必ず「46歳」と年齢が表示されていることだろう。これは意図的に組み込まれた「違和感」ではないだろうか。別の言い方をすれば「突っ込みどころ」である。

とにかく徹底的である。常務の出ているところすべて「46歳」がついてまわっている。ブログのタイトルすら「城嶋46才ナチュラル&ビューティーライフ」である。しかしブログはいいが、街なかの看板にも「46歳」と書かれているのを見ると「来年は看板を掛けかえるのだろうか?」と思ってしまう。だれでも思うだろう。思ったら、人に言わずにいられなくなるのが人間というもの。看板の前を通る人々の間で「来年はどうするんだろう?」という会話が交わされるのは想像に難くない。そういう意味では、これはひとつのバイラル広告と言えるかも知れない。

Dr

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