文化人

2009年4月21日 (火)

白黒はっきり/桂ざこば

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

先日、桂ざこばのインタビューをキャスティングした。大阪市内のホテルで約1時間、みっちりである。ざこばは今の芸名になる前は桂朝丸といって、懐かしのテレビ番組「ウイークエンダー」に出て名を売った。とはいえその後はそれほど全国ネットの番組には出ていないので、東日本で40歳以下なら知らない方も多いだろう。西日本ではトーク番組によく顔を出しており、人情家で涙もろく、思ったことは遠慮なく口にするキャラクターで、知名度・好感度ともに高い。

私がざこばを近くで見るのは初めてであったが、テレビで見るそのままの印象であった。とにかく回答がこの上なく明瞭である。

「~することなどありますか?」
「ない!」
「~などは買いますか?」
「買う!」
「~はどうですか?」
「分からん!」

みたいな感じである。「条件付きイエス」みたいな回答は一切ない。ときどき「これは書かんといてや」という話もあって、今思えばあれは同席したクライアントへのある種のサービスだったのかも知れない。ギャンブルの話、苦手な共演者の話、本当に面白いのはこちらのほうだが、もちろんここでも書くことはできない。

あと、テレビでは分からないが、声がとてつもなく大きい。普通にしゃべっていても普通の人の「怒鳴り声」レベルである。インタビュー中、私は一度電話をかけに部屋を出たのであるが、廊下にいてもかすかに室内の声が聞こえてくるのでびっくりした。それなりに格のあるホテルなので防音はかなりしっかりしているはずである。声が商売道具とはいえ、やはりプロの「基礎体力」の凄さを実感した。

意外なことといえば、ミニバンを自分で運転して現れたことだろうか。事前に打ち合わせした際、「車で行きます」と付き人の方に言われていたので、ワタシはてっきりタクシーで来るものと思っていたのだが、ホテルの駐車場で運転席から師匠本人が降りて来たときは驚いた。付き人は助手席にいる。こういう光景は初めて見た。帰りも本人の運転で去っていったので、普段からそうなのだろう。よほど運転が好きなのだろうか。本人を見て少々イメージが変わったとしたらこの点である。

ざこばといえば、某タレントの活動自粛をめぐる発言で一瞬注目されたが、それはこのインタビューの翌日であった。事務所関係者は肝を冷やしただろうが、本人は「そんなもん、なんぼのもんじゃい」くらいのものだろう。万一のことがあったらインタビューも出し辛くなるので心配したが、大事に至らず一安心である。そうなると、むしろインタビューを出す前に注目度が上がったということで、この発言も悪くはなかったという気になってくる。因果な商売である。

Zakoba

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月18日 (水)

オネエ系が好かれるわけ/假屋崎省吾

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

最近いろんなところでよく見るなあ、カーリー。女性誌はもちろん、特定の人だけに配布される媒体、たとえばクレジットカードの会員向けの会報であるとか、百貨店の通販カタログであるとか、そういう類の雑誌にもしょっちゅう彼のインタビュー記事が出ている。と思ったら、某ホテルのロビーには、彼のトークショーのフライヤーがあった。文化人タレントはテレビで見なくても「落ち目になった」などと思ってはいけない。ちょっと目に触れにくいだけで、結構忙しく飛び回っていたりするのである。

ところで假屋崎を含め「おぐねー」とか植松晃士とか、オネエ系の男が最近妙に持ち上げられている。彼らが支持される理由として、よく言われるのが「キツイことを言うけれどオネエっぽく言われると腹が立たない」だが、口調の問題だろうか。ほかのタレント、とくにお笑い芸人などは、キツイセリフの裏に相手を馬鹿にして笑いを取ろうとする下心が見えることがある。オネエ系の男たちにそういう腹黒さはない。基本的に相手に対する愛があるので多少キツイ指摘も腹が立たないのだと思うが、どうか。話が上手いとかネタが豊富という以上に、真剣でストレートな意見なら受け入れられるのだ。

また、同業者から聞いた話だが、オネエ系は「呼びやすい」のだという。少々厳しいギャラでも熱心に頼めば受けてくれるし、インタビューなども丁寧に応えてくれるのだそうだ。人気があるからといって横柄な態度をとることもないらしい。これは大きい。キャスティングに際して、我々専門業者はもちろんお客の満足を最優先して人選を考えるが、自分が嫌な思いをするかも知れないタレントを呼びたくないのは人情である。なるほど、キャスティングする人にモテているというのが、今のオネエMANブームを支える一つの要素なのかも知れない。

Header_1 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年2月 8日 (日)

シェフの名前は安いか高いか

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

スーパーの食品売り場にはたくさんのレトルト食品、インスタント食品が並んでいる。見てみると、有名人の名前を冠したものが結構多い。テレビで見かける有名料理人がカレーにシチューに釜飯にと大忙しである。とくに「鉄人」道場六三郎など、いったいいくつの商品に顔を出しているのか数えたくなってくる。

キャスティングを生業にする者としては、つい思いをめぐらせてしまう。通常、有名人が自分の名前を商品に貸すというのは、イメージダウンにならないように神経質になるものである。しかし、料理人の名を冠したレトルト食品はあまりに多いし、なんとなくハードルが低そうなのだ。高級レストランで一流の食事を作る料理人は、本来レトルト食品とはもっとも遠いところにいるはずの人たちなのに、これはどうしたことか。自分の名前に傷がつくとは考えないのだろうか?

料理関係者の知人にそのことを聞くと、あっさり「あまりこだわりはないんじゃない?」だそうだ。「レストランの料理と同じ味が、300円でお釣りがくるレトルト食品で再現できるわけないだろう」と言い返すと、「だからだよ。レトルトを食べて大したことがなくても、レストランで出すのは別だろうと思うじゃん。それでシェフのことを『見損なった』なんて誰も言わないよ」。身も蓋もないが、言われてみればそうかも知れない。

オーナーシェフも結構大変らしい。レストランの売上だけでやっていければ、料理人がテレビなんて出ないという人もいる。たしかにテレビで名前を売るのは大きなメリットがある。店の宣伝になるし、有名になることで商品に名前を使ってもらったり料理本の企画が持ち掛けられたり、いろんなビジネスが派生してくる。文化人にとって多くの場合、テレビ出演は「本業」の営業活動を兼ねているのである。

ちなみに、レトルト食品などの料理人のキャスティングは、「一個売れていくら」のロイヤリティ契約が多いようである。したがって「○○シェフのカレーは良く売れるが、××シェフのはイマイチ売れない」といった数字で評価され、売れなければ情け容赦なく切られてしまう。名前貸しは楽なようで、自分の価値がはっきり世間に知られてしまう、厳しい現実と背中あわせである。

Michiba

| | コメント (0) | トラックバック (0)