タレントブログの「帝国」
もう一ヶ月近くたってしまったのでニュース扱いはできないが、おそらく現時点で「もっともブログが有名なタレント」である中川翔子がアメブロに「移籍」した。もともとはヤプログで自発的に書き始めたブログが異常なまでの更新回数で注目を集め、その後エキサイトブログに移り、そして今回のアメブロへの電撃移籍である。移籍と同時に「殿堂入り」(ランキング対象外)と、いきなり伝説を作ってしまった。この移籍に関しては何人かの考察がすでにWeb媒体に出ているので、ここで深くは言及しない。
しかしアメブロはもはやタレントブログの「帝国」だと思う。スターの独占ぶりは、読売ジャイアンツ、ニューヨーク・ヤンキース、レアル・マドリッドをもしのいでいる。というか、もはやタレントの中で「ブログを書くならアメブロ」という空気が自然にあるのが凄い。今はいくつのタレントブログがあるのだろう? たしか昨年確認したときに3000以上と聞いていたが、今では当然もっと増えているに違いない。
とはいえタレントは誰でもアメブロで「公式ブロガー」にしてもらえるかというと、そういうことはなく、タレントからの申し込みに対してはちゃんと審査がある。ポイントはおそらくどのくらいのPVが見込めるかだろうが、私の知り合いの女性ローカルタレントは自薦で申し込んで断られていた。その彼女が他サイトで書いていたブログは月間2万PVあったのだが、その程度ではお話にならないようである。ハードルは高いのだ。
昔話で恐縮だが、私は今の会社に参加する前はWeb媒体社でブログサイトを担当していた。おそらく名前を言っても20人に1人くらいしか知らないような弱小ブログサイトであったが、それでもいろいろな人の協力を得て何名かのタレント(の卵)に公式ブロガ-としてブログを書いてもらっていた。当然というか、専用テンプレートを提供するのがギャラ代わりである。
その卵たちが日を追うごとに成長していくのを見るのは自分のことのように嬉しかった。ステップアップするごとに確実にブログのPVが増えるのである。ドラマで役をもらったり週刊誌で巻頭グラビアを飾ったり、名前がマスコミに出た日はPVが普段の3倍くらいハネ上がった。皆がこのまま成長すれば、アメブロにはかなわなくてもそれなりのブログサイトになるぞと想像を膨らませていたが、世の中はそんなに甘くない。皆、ある程度人気が出てくると申し合わせたように去って行くのである。アメブロに。まるで昨今のメジャーリーグと日本のプロ野球の関係に似ているが、実力者はより一層レベルの高いところを目指すものであり、その流れを止めることはできないのである。
弱小ブログサイトとはいえいちおう「公式ブロガー」にはそれなりの契約もあって、一年単位で更新することになってはいた。しかしノーギャラなので、「誰に育ててもらったと思ってるんだ」などと言うこともできない。結局、契約期間中に去るタレントを誰一人引きとめることはできなかった。ただし、こちらに何の知らせもなく去って行ったタレントの最後のブログ記事が「このたびアメブロにお引越ししました。URLは~」などというリンク付きの告知であれば、それは運営者の権限で削除した。それを残しておいてほしいというのは、いくら何でも厚かましいだろう。
公式ブロガーに去られたら、仕方なく空いた穴を埋めるために別のタレントを探すのだが、そのときにできたいくつかの芸能事務所との縁が今の仕事のいしずえになっている。だから、憎くはあったがアメブロには間接的にお世話になったと言えなくもない。もっとも、私自身が前の会社を踏み台にして出て来てしまった今では、偉そうなことを言える立場ではないのだが。
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