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2009年8月

タレントブログプロモーションを成功させるには

ここ数回、タレントブログのことを集中的に書いているが、今回でとりあえず区切りにしようと思う。タレントのブログを使ったプロモーションは、通常の広告キャンペーンとは勝手が異なる部分が多々ある。一言でいえば、広告主の思い通りにならないことが多いのだ。それらはすべて過去の「やらせブログ炎上騒動」からタレント事務所やキャスティング会社が得たノウハウであり、最終的には広告主企業を守るための手段であるので、ご理解をいただければと思う。

まず、ブログプロモーションには「広告であることを明かすかどうか」という大きな選択肢がある。どちらが良いかと尋ねられたら、私なら迷いなく広告であることを明かした方が良いと答える。ウソは結局ばれるのだ。これまでの「やらせブログ炎上騒動」はほぼ例外なく「広告でないような顔をした広告」であった。

たとえば女性モデルに「○○社の口紅を愛用しています」と書いてもらったとしても、そのモデルが本当にそのメーカーの商品を愛用しているなら、それまでにまったくブログで話題にしていないとは考えにくい。昨今のリテラシー(読解能力)の高い読者は「いつもと違う」記事は間違いなく広告だと見抜くし、そうすると広告主企業に対してマイナスイメージを持つだろう。

それならば「○○社さんから口紅をいただきました。試しに使ってみたんですけど、色がすごくキレイですね」というように、広告であることを示唆した上で、使用感などを書きこみしてもらったほうがすんなり受け入れられると思う。読者は広告そのものに嫌悪感を示すのではなく、そうとはさとらせないような方法で情報を刷り込もうとする行為に抵抗を覚える。この点を忘れてはならないだろう。

したがって、書き込みの依頼においては、タレントの書く原稿は基本的に「お任せ」でお願いしたい。もちろん広告主が商品の訴求ポイントや文例を提示するのはOKであるし、そのほうが記事を書きやすいのでタレントにも歓迎される。しかし、「アップする前に原稿を確認させてほしい」といった要望はNGの場合が多い(人気タレントほど難しい)。アップ後も明らかな誤認や固有名詞の間違いでなければ原稿の修正は難しいと思っていただきたい。ブログはタレントが「自分の言葉」で書かなければ伝わらないのである。

そういった点で、ブログプロモーションは広告よりもPRに近いと言える。たとえば記者会見を開いて情報提供をしても、記者が書く記事をコントロールすることはできない。それと同じようなものである。そのことを前提に、ブログプロモーションを成功させるポイントをあげるとしたら次の3つになるだろうか。

1.商材とタレントのマッチング(タレントがその商品について語る妥当性がある)
2.広告(もしくは依頼されての書き込み)であることの明示
3.タレントの「自分の言葉」による商品の紹介

繰り返しになるが、ブログ読者のリテラシーを甘く見てはいけない。小手先のウソや小細工は、すぐにばれてしまう。そして、ばれてしまったときの代償はあまりに大きい。

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タレントブログの「帝国」

もう一ヶ月近くたってしまったのでニュース扱いはできないが、おそらく現時点で「もっともブログが有名なタレント」である中川翔子がアメブロに「移籍」した。もともとはヤプログで自発的に書き始めたブログが異常なまでの更新回数で注目を集め、その後エキサイトブログに移り、そして今回のアメブロへの電撃移籍である。移籍と同時に「殿堂入り」(ランキング対象外)と、いきなり伝説を作ってしまった。この移籍に関しては何人かの考察がすでにWeb媒体に出ているので、ここで深くは言及しない。

しかしアメブロはもはやタレントブログの「帝国」だと思う。スターの独占ぶりは、読売ジャイアンツ、ニューヨーク・ヤンキース、レアル・マドリッドをもしのいでいる。というか、もはやタレントの中で「ブログを書くならアメブロ」という空気が自然にあるのが凄い。今はいくつのタレントブログがあるのだろう? たしか昨年確認したときに3000以上と聞いていたが、今では当然もっと増えているに違いない。

とはいえタレントは誰でもアメブロで「公式ブロガー」にしてもらえるかというと、そういうことはなく、タレントからの申し込みに対してはちゃんと審査がある。ポイントはおそらくどのくらいのPVが見込めるかだろうが、私の知り合いの女性ローカルタレントは自薦で申し込んで断られていた。その彼女が他サイトで書いていたブログは月間2万PVあったのだが、その程度ではお話にならないようである。ハードルは高いのだ。

昔話で恐縮だが、私は今の会社に参加する前はWeb媒体社でブログサイトを担当していた。おそらく名前を言っても20人に1人くらいしか知らないような弱小ブログサイトであったが、それでもいろいろな人の協力を得て何名かのタレント(の卵)に公式ブロガ-としてブログを書いてもらっていた。当然というか、専用テンプレートを提供するのがギャラ代わりである。

その卵たちが日を追うごとに成長していくのを見るのは自分のことのように嬉しかった。ステップアップするごとに確実にブログのPVが増えるのである。ドラマで役をもらったり週刊誌で巻頭グラビアを飾ったり、名前がマスコミに出た日はPVが普段の3倍くらいハネ上がった。皆がこのまま成長すれば、アメブロにはかなわなくてもそれなりのブログサイトになるぞと想像を膨らませていたが、世の中はそんなに甘くない。皆、ある程度人気が出てくると申し合わせたように去って行くのである。アメブロに。まるで昨今のメジャーリーグと日本のプロ野球の関係に似ているが、実力者はより一層レベルの高いところを目指すものであり、その流れを止めることはできないのである。

弱小ブログサイトとはいえいちおう「公式ブロガー」にはそれなりの契約もあって、一年単位で更新することになってはいた。しかしノーギャラなので、「誰に育ててもらったと思ってるんだ」などと言うこともできない。結局、契約期間中に去るタレントを誰一人引きとめることはできなかった。ただし、こちらに何の知らせもなく去って行ったタレントの最後のブログ記事が「このたびアメブロにお引越ししました。URLは~」などというリンク付きの告知であれば、それは運営者の権限で削除した。それを残しておいてほしいというのは、いくら何でも厚かましいだろう。

公式ブロガーに去られたら、仕方なく空いた穴を埋めるために別のタレントを探すのだが、そのときにできたいくつかの芸能事務所との縁が今の仕事のいしずえになっている。だから、憎くはあったがアメブロには間接的にお世話になったと言えなくもない。もっとも、私自身が前の会社を踏み台にして出て来てしまった今では、偉そうなことを言える立場ではないのだが。

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タレントブログの書き込みっていくら?

前回の記事ではタレントがブログサイトから得るギャラについて書いた。今回は、書き込みなどの個別の仕事のギャラについて説明する。これもまたいただくことが多い質問である。週刊誌などで「女優の○○はCM一本一億円!」などと書かれていることはあっても、ブログの書き込みがいくらか書かれているのは見たことがない。なので、ほとんどの方は見当がつかないと思う。

ブログ書き込みのギャラのひとつの目安は、そのタレントの1ヶ月の平均PV数である。前回、PVはWeb媒体の広告価値を左右すると書いたが、当然各タレントのブログも広告媒体として見たとき、PV数が価値の基準となる。ある同業者は「月間PV数を1PV1円として、その上にタレント固有の市場価値を加算している」と言っていた(といってもタレントブログのPV数は開示されておらず、ブログサイトも教えてはくれないので、一般の方は我々キャスティング業者を通じて確認をとるしかないのであるが)。

実体験として、タレントブログの書き込みの見積りを提示したら、たいていの人は驚く。なぜなら、テレビドラマに端役で出ているレベルの、ようやく名前が知られ始めたクラスのタレントのブログでも一日5000PVくらいはあるのである。とすると一ヶ月なら15万PV、前述の同業者の計算でいけば、15万円プラスαが書き込み一回のギャラの目安ということになる。売れっ子ならば軽く100万や200万には達するだろう。

おそらくほとんどの人が「ブログに一回記事を書くくらいで大した金額はかかるまい」と思っているのではないか。しかし、タレントのギャラというのは仕事にかかる手間よりも「名前」や「顔」を借りるための報酬なのである。たとえブログ記事を書いてアップするのが5分で終わるとしても、有名タレントならば何百万円とかかっても不思議はない。

…と、ここで記事を終えてしまったらもうタレントブログの問い合わせが来なくなりそうなので、少し補足しておく。今が旬の、売れっ子の有名人でなければ、それなりの予算で収めることも可能である。たとえば女性ファッション誌の読者モデルなどは、PV数がそこそこあるわりには手頃なギャラで動いてくれるので、化粧品メーカーなどは同時期に複数のモデルに書き込みを依頼することがある。あるいは年間のイメージキャラクターに起用したタレントに、定期的にブログに商品のことを書いてもらうのを「込み料金」で依頼することもできる。

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タレントブログってギャラは出てるの?

芸能界に関係のない一般の企業の方と話をしていてよくいただく質問に、「タレントブログって、タレントにギャラは出ているんですか?」というのがある。

※今回の記事中、「タレント」という言葉には、モデル、スポーツ選手、文化人など
  いわゆる著名人全体を含んでいるとお考えください。またここでの「タレントブログ」は
  ココログやアメブロなどの無料ブログサイトにおける「公式ブログ」を指しています。

すべてのタレントブログについて知っているわけではないが、とりあえずの回答としては「ギャラが出ている人もいるし出ていない人もいる」になるだろうか。ただし「ギャラが出ているのはブログを書いているタレントの中でもごくわずか」である。要するにブログサイトから「頼まれて」書くタレントはお金をもらっているが、大多数のタレントは自発的にノーギャラで書いている。あえていえば、「公式ブロガー」という肩書と、専用のスキン(テンプレート)を作ってくれるのがギャラがわりということになろうか。

なぜブログサイトはお金を払ってまでタレントにブログを書いてほしいのか。その理由は大きく次の二点がある。

まず、人気タレントのブログは当然多くの人が見に来るので、ブログサイトとしてのPV(ページビュー)が増える。PVというのはテレビの視聴率のようなもので、その数字が大きいほどサイトの広告媒体としての価値が上がる。乗降客が多い駅ほど広告看板の料金が高いのと同じ理屈である。したがって、ギャラを払って人気タレントにブログを書いてもらうというのは、「お金でPVを買っている」と言い替えてもいいと思う。

次に、人気タレントのブログはそのものが広告媒体である。広告主から依頼を受けて、その会社の商品を「愛用してま~す」などと書くのは、今やタレントにとっての立派な仕事なのだ。つまり、人気タレントを「公式ブロガー」として囲い込むのは優れた広告商品を確保するという意味がある。

ここまで説明したら、「じゃあタレントブログのギャラっていくらですか?」という質問が返ってくるのはお約束である。あまりギャラのことは触れたくないが、まあこのくらいはいいだろうか。これまでいくつかのブログサイトの方と仕事をする中で、次のようなギャラの計算方法を見たことがある。

・「一ヶ月いくら(更新回数は○回以上)」の定額制
・「月間のブログPV数が○万を超えたらいくら」のランク制
・「月間のブログPV数×指数」の変動制

具体的な金額をここで言うことはできないが、ランク制、変動制のテーブルを実際見たときの私の印象は「意外に高くないなあ」であった。うーん、こんな情報がブログで公開されたのはこれが初めてかも知れない。

もちろんこれらは「基本料金」であり、上記の「書き込み」のような個別の仕事には個別のギャラが支払われることになる。それについては次回に詳しくご説明したい。

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こっちは300人/SMAP

資生堂コラーゲンの「100人CM」と時を同じくして、ソフトバンクが300人を擁した大がかりなCMを放送している。同じ趣向の、しかしそれなりに準備期間も費用も要する「めったにない」タイプのCMがほぼ同じ時期にリリースされたのは、偶然のようであるし、どこか仕掛けめいたものも感じる。とはいえ私ごときが詮索して何かが分かるものでもない。

この「めったにない」状況にあって、資生堂を取り上げてソフトバンクを取り上げないわけにはいくまい。資生堂は100人のうち10人が新進の人気モデルであったわけだが(まあ女性ファッション誌を見ない人には全然ワケわからんだろう)、ソフトバンクのメインはSMAPである。しかも5人同時出演。考えてみれば、SMAPはいまや一人ひとりでの活動が活発で、メンバー全員が一緒に登場するCMは意外に少ない。ポカリスエットとかNTT東日本とか芝浦のマンションとか、SMAPとしてイメージキャラクターに起用されてはいるが、「全員一度に」というのは多くないはずだ。

そういうわけで、これまで一貫してハリウッドスターを使ってきたソフトバンクが初めて起用する日本人タレントとして、「5人一緒のSMAP」は、そのレア度からすればふさわしいと言えるだろう。CMの作りはこれまでの「往年のヒット曲&セリフなし」路線を踏襲、高級ホテルを思わせるセットから飛び出し、最後の「お父さん」のオチまで目が離せない見事な出来だと思う。

もう一つすごいのが、ソフトバンクのHPでのSMAPの露出である。CMの30秒、60秒バージョンが見られるほか、メイキングにも多数の写真が掲載されているのである。普通のタレントなら別にどうということはない「よくあること」だが、しかしジャニーズ事務所がここまでネットに所属タレントの(しかももっとも大物の)画像を使わせているというのは前例がないのではないかと思う。

知っている人も多いと思うが、ジャニーズ事務所のタレントの写真は、なかなかネットで使わせてもらえない。たとえば女性セブンの表紙に稲垣吾郎の写真が使われているとする。その表紙をネットで表示するときは、稲垣の写真は黒く塗りつぶし、「今週の表紙は稲垣吾郎さんです」などと文字で説明するしかないのである。あるいは、以前にキムタクが主演したドラマのHPでは、他の出演俳優はいくつも写真を出しているのに、キムタクの画像はトップぺージにワンカットだけ、ということがあった。

同事務所は「肖像権の管理が厳しい」と言われるが、その基準は何なのだろう。ネットは勝手にコピーされるのでそれを嫌っているのだとは思うが、ギャラ次第なのだろうか?だとすると、今回ソフトバンクはどのくらいのギャラでSMAPを「買った」のだろうか。CMそのもののコストも映画なみにかかっているだろうし、CMで会社がコケたりしないかとお節介ながら心配になってしまう。まあ、何をするにも徹底的で妥協しないというのはこの会社の魅力でもあるが。

Sb

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100人CMの舞台裏を想像する

資生堂の新CMが話題になっている。ビキニの水着美女が100人、海辺を走ったり泳いだり、すさまじいインパクトである。そりゃあ話題にもなるだろう。この迫力を無視できる男はなかなかいないと思う。とにかく大勢出ているのでだれがだれだか分からないが、若い女性の「ピッチピチ」のエネルギーは十二分に伝わってくる。男に伝わっても仕方ないかも知れないが。

キャスティング屋としてこのCMを見て考えてしまうのは、その舞台裏である。ロケはハワイだったそうだが、100人分の往復航空機料金はいくらだろう?とか。いや100人ということはない、スタイリストやメイクさんも1人や2人ということはないだろうし、それぞれのモデルのマネージャー、カメラクルー、それに立ち会いのスポンサーや代理店の関係者もいる。通常、CMの撮影現場には直接撮影に関係しない人間がなんやかやいるものなのだ。ならば、今回の宿泊やロケ弁はいったい何人分が必要だったのだろう?さらに撮影機材(メイキングでクレーンが映っていたがさすがにアレは現地調達だろう)はじめ、100人分の衣装や小道具も相当な量があったはずだ(CMをよく見ると「RUN RUN RUN編」ではギターを持って走っている女の子がいる)。これはもう、ちょっとした学校の修学旅行なみの大移動だったのではないか。

私が関わるキャスティングで撮影がある場合は、もちろんほぼ国内ということもあるが基本「現地集合」である。キャスティング会社が足を手配することはまずない。好きな方法で来てもらって、交通費は別にお支払いする。たまにエキストラなどでまとまった人数を手配するときなど、コーディネーターに自分の車(芸能関係の会社はたいていミニバンを持っている)に乗せてきてもらうくらいである。

撮影現場でのこまごました仕事を仕切るのは、ほぼ広告代理店の制作部隊である。彼ら、彼女らの働きぶりは凄い。モデルの出入りの確認、撮影の記録、ロケ弁の手配などはもちろんのこと、カメラマンに「そこのベンチ邪魔」と言われれば重い鉄製のベンチをひきずってどかし、近所の奥さんが何をしているのかと出てくれば「お騒がせしてすみません」と頭を下げ、足りない備品があればコンビニが1km先でも走って買いに行く。ホームページの中の「CMメイキング映像」などには現れないシーンが現場には山ほどあるのだ。現場スタッフの細やかに神経を使いながらの重労働は、真似をしろと言われても私などには絶対無理である。

資生堂の今回のCMの場合、さすがに100人ものモデルを投入するのであれば、宿泊や移動は旅行代理店を動員しただろう。それでも100人の多くは初めて顔を合わせる間柄だろうし、限られた時間で撮影を完了するべく、段取り良く全員を動かすには相当の苦労があったはずである。このような企画を現実にした制作スタッフ、およびスポンサー企業の太っ腹ぶりに敬意を表したい。

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