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2009年6月

2009年6月30日 (火)

「家電俳優」考/細川茂樹

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細川茂樹が家電に詳しく、投資の専門知識を持っているということを世間に認知されたのはいつ頃だろう。30歳を過ぎて仮面ライダーに抜擢されたときにはもう知られていただろうか。恥ずかしながら私にとって細川茂樹という俳優はまったくノーマークであった。イケメンで、特殊な分野に通じており、ブログも書ける。これほど広告に使いやすいタレントだったとは知らなかった。

すでに「家電芸人」、じゃなかった「家電俳優」としての仕事もあり、日経トレンディで家電をレビューする連載を持っている(といっても彼が書いているのではなく取材記事ふうの読み物)。誌面では「熱血バイヤー」の肩書きを奉られおり、扱われ方も何となく松岡修造的である(持ち上げられつつどこか扱いが軽い)。最近ではアメブロのタイアップ企画があり、こちらではNECのパソコンをPRしていた。自分の言葉で蘊蓄が語れるので、家電会社が主催するトークショーなどにも呼ばれているようだ。

「家電俳優」は企業にとって使いやすい。我々もキャスティングしやすい。しかし「生き方」としては意外にしんどいのではないかと思う。どうしても「企業のPRマン」臭くなるからだ。多くの人は広告など嫌いであり、だからユーザーの感想や、一家言ある人の話を聞きたがる(そしてできれば「けなし文句」を期待している)。もし「家電俳優」が話す内容に企業の宣伝臭さが感じられたら、だれも耳を傾けなくなるだろう。

そうならないためには、やはり自分なりの評価軸を打ち出すべきで、「メーカーはこういう考えかもしれませんけど、僕はダメですね!」と切り捨てるくらいでないといけない。しかし、家電メーカーといえばドラマやテレビ番組の大スポンサーである。タレントは足を向けて寝られない。当然おいそれと悪口を言うわけにいかず、「スポンサーの期待通り」の発言に終始してしまう・・・、というストーリーが浮かぶ。

家電メーカーにすりよればファンが離れる、ファンを楽しませようとするとメーカーに睨まれる。というのが、私の考える「家電俳優」のしんどさである。細川がどうなのかは、実はまだ彼の仕事をあまり知らないので、コメントは差し控える。いずれにせよ、タレントの価値を決定するのは一般人である。「家電俳優」の肩書が一般人よりも企業に重宝がられているようでは、あまり寿命は長くないようにも思う。

Hosokawa

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2009年6月28日 (日)

好感度というもの/久保純子

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今、街かどの掲示板に、久保純子が調査員に扮した「経済センサス」のポスターが貼り出されている。政府系の広告は基本的に代理店数社のコンペなのだが、実はこの案件には某代理店にタレントをキャスティングする形でウチも参加していた。こちらからは同じくフリーキャスターの某氏を提案していたのだが…、そうか、クボジュン案が採用されたのか。クボジュンの旦那は最大手代理店マン。ということは落札したのは…、などと考えてしまうが詮無いのでやめておこう。

クボジュンといえば、元NHKのアイドルアナである。それまでにもNHKにタレント的な人気のあった女性アナはいたが、それは宮崎緑のような、基本的にアナウンサーという職務をまっとうした上での美人であった。久保のアナウンス技術は素人の私が見てもどうかと思うことが多く、それを「可愛いげ」でカバーしていた、というか許されていたという点では、NHKにおける最初のアイドルアナであったかも知れない(かといって後に続く存在もこれといっておらず、今のところ「唯一の」かも知れない)。

ところで、政府系イメージキャラクターの決め手は「好感度」である。「好感度」とは、「爽やかさ」「清潔さ」「真面目さ」などの要素をもって幅広い層から受け入れられるキャラクター、といえるだろうか。そして不文律だが「完璧ではないこと」が間違いなくある。この国では、あまりデキすぎるのは「可愛いげがない」と思われ、「冷たい」と言われるのだ。宮崎緑などはそのタイプだろう。本人的にはまっとうに職務を果たしているだけなのに、そのせいでポイントを下げられても心外だろうが、世間とはそういうものである。

クボジュンはというと、失礼を承知で言うと「整った美人」ではない。しかし、どこか人をなごませる空気を持っている。このあたりですでに「好感度タレント」の資格十分である。もう子供を2人もうけ、40歳に手が届きそうな年齢であるのに「お嬢さん」的な印象があるのもいい。すなわち汚れがない、まっすぐなイメージである。どこか西村知美に通じる「天然」も感じる。アナウンサーという専門職においては大成しないかも知れないが、「好感度」で見るならポイントは高いに違いない(元局アナの女性タレントにたまにいる「知性派」を気取るところがないのもいい)。

フリーになって以降、さほど仕事は多くないが、旦那も高給取りだろうし、子育てをしながら無理のない範囲で仕事をできればいいという考えだろうか。私はまだ彼女に仕事のオファーをしたことはないが、するとしたらひとつ心配がある。もし旦那の会社と競合することになったら動いてくれるだろうか?

Kubo

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2009年6月26日 (金)

アスリート起用はギャンブル

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ここのところいくつかのスポーツ雑誌で、「WBC後遺症」というテーマの記事が掲載されている。見事にV2を達成した日本チームであるが、その後シーズン入りしてから「本業」で主力メンバーの成績がふるわず、これはいったいどうしたことか、やはり3月の開催はムリがあるのか、という感じである。

WBCメンバーの広告起用でも明暗が分かれている。今、バンテリンやアクエリアスのCMに出ている松坂大輔など、シーズンに入ってからレッドソックスでのピッチングはパッとしないどころか、故障者リストに入るなど今年は散々。大枚はたいてCM契約してこれはないだろうと、広告主企業はガックリといったところだろう。せめてチームがプレーオフに出て、1回でいいから大試合で活躍してくれ、という思いではないだろうか。

いっぽう、やはりWBCの快投からすればシーズンは物足りないが、楽天・岩隈久志のすき家のCM効果は悪くなかったように思える。WBCからわずか1ヶ月でキャスティング・撮影・放送を敢行した超スピード作業と、キャンペーンそのものが短期だったことが勝因だろう。WBCでのMVP級(実際のMVPは松坂)のピッチングの勢いをCMに持ち込めた。

アスリートを起用したCMでもっともキレイな形は、契約している選手が活躍して歓声を浴びたスポーツ中継(もしくはスポーツニュース)直後のCMで、その選手が商品を持ってニッコリ笑ってくれることだろう。「マイナーで調整する松坂選手」のニュースの後で彼のCMが流れても苦笑しか出てこない。その点で成功しているのは宮里藍(三菱電機)、イチロー(ユンケル、エネオス他)、ダルビッシュ(サロンパス他)、朝青龍(ファンタ)あたりだろうか。

家電量販店のジョーシンは2003年に阪神タイガースのスポンサーになったとたん、チームがセ・リーグ史上最速でマジックを点灯させ、ぶっちぎりの優勝を果たしたということがあった。これにより同社の出店地域での存在感は一気に上昇、スポンサードの効果をこれ以上ないほど発揮した好例といえる。それまで数年の阪神の成績(98~01年最下位、02年4位)を見れば、まさに「万馬券」クラスの当たりを手に入れたと言えよう。

多かれ少なかれ、アスリートのCM起用は広告主にとってギャンブルである。一流選手といえども人間なので、調子の波はある。大型のCM契約を結んだことがプレッシャーになり、そのせいで実力を発揮できない者もいるだろう。そう考えれば、毎年当り前のように活躍して広告主企業に貢献しているイチローやダルビッシュは本当に凄いと思う。逆に、大会で優勝することもないのになぜかCM契約が引きも切らない浅尾美和というのは、不思議な存在だと思う。

Dicek

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2009年6月24日 (水)

パチスロ・パチンコのキャスティング

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私自身はパチンコもパチスロも全然やらないのだが、電車駅の近くを通りかかったときなどは嫌でもパチンコ店ののぼりが目に入り、「こんなタレントが出ているのか」と驚くことがある。最近はロックバンドのボン・ジョビのパチスロが出たという話を聞いた。国内でネタが尽きたのだろうか。いやはや、遊技機メーカーの企画力は大したものである。

少し調べてみたのだが、パチンコ、パチスロのタイアップ機キャラクターには次のような人物が使われている。

■格闘技選手

アニマル浜口、アントニオ猪木、ガッツ石松、桜庭和志、長州力、橋本真也
花田勝、力道山、アジャコング、小川直也、具志堅用高、ボブ・サップ

■男性歌手/タレント

五木ひろし、北島三郎、香田晋、西條秀樹、氷川きよし、泉谷しげる、竹中直人
加山雄三、郷ひろみ、小林旭、デーモン小暮、山本譲二、ザ・ブルーハーツ

■女性歌手/タレント

小野真弓、倖田來未、中村玉緒、都はるみ、モーニング娘。、飯島愛
イエローキャブ(事務所として版権提供)、小倉優子、熊田曜子、小林幸子
C.C.ガールズ、ピンクレディー、ほしのあき、松居直美、松浦亜弥、安田美沙子
和田アキ子

■お笑いタレント

くりぃむしちゅー、志村けん、ダチョウ倶楽部、長州小力、TIM、電撃ネットワーク
所ジョージ、安田大サーカス、加藤茶、コント55号

■外国人アーティスト、俳優

エルビス・プレスリー、クイーン、ブルース・リー、ジャッキー・チェン、ボン・ジョビ
マリリン・モンロー、チャールズ・チャップリン、マイケル・ジャクソン

やはり客層の好みを反映しているのか、格闘技選手が多数起用されている。男性タレントの多くは演歌歌手、女性タレントの多くはグラビアアイドルという傾向も、「いかにもイメージ通り」といったところ。お笑いタレントは「エンタ」などに出ている「旬」の名前はなく、やはり比較的高年齢層にウケそうな人選である。外タレはボン・ジョビ以外にも結構使われていたことを今さらながら再認識。そういえば、どこかでフレディ・マーキュリーのパチンコののぼりを見たような気がする。

こういったキャラクターの話になると必ず出てくるのが、「やっぱ儲かるんやろうねー」みたいな話題である。私はあまりこちらの業界は詳しくはないが、やはりそれなりの報酬・契約金は出ているらしい。個人名を出すとさしつかえがあるので著作物を例にとるが、たとえばパチンコのキャラクターに使われた「北斗の拳」は、パチンコ機がリリースされて数週間で漫画の単行本全巻の総売上を稼いでしまったという。ロイヤリティ契約ならば作者と出版社は相当(というか想像を絶するほど)に潤ったのではないだろうか。

ビッグマネーの誘惑は「遺言」をも動かす。数年前、版権の二次使用やリメイクを固く禁じていた黒澤明作品の権利を事務所がリリースしたことがあった。その背景として、事務所経営が苦しかったというのは周知の事実である。こういった話を聞くと、やはりパチンコというのは「お金に困った権利保有者の最後の手段」のような印象がある。

しかし最近では倖田來未しかり、イエローキャブしかり、旬のタレントがパチンコのキャラクターになるケースも出てきている。こういった流れが普通になれば、パチンコそのもののイメージも変わっていくのかも知れない。今、漫画家を目指す人たちの多くの目標は、「週刊誌連載 ⇒ アニメ化 ⇒ キャラクター商品の販売で大金持ち」であるが、今後はこれに「パチンコとのタイアップ」が入るのだろうか。

しかしボン・ジョビのパチスロっていったいどんなんだろう? ちょっとだけ興味がある。

Bj_2

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2009年6月20日 (土)

懐かしのエレベーターガール/宮沢りえ

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オトナグリコのCMシリーズ、かつての「子供たち」の現在が次々明らかになっていく中、果たして宮沢りえ演じるワカメの職業はエレベーターガールであった。CMを見て、「ああ~」と思わず声を漏らしたあなたは30代以上だろう。そう、宮沢りえでエレベーターガールとくればTBS系で1992年に放送された「東京エレベーターガール」である。あの頃トレンディドラマという言葉はあっただろうか? あったとしてもあのドラマはどこか陰がある、いわゆるトレンディらしくない作品であったと思う。

「東京エレベーターガール」は共演者の面々もなかなかに興味深い。同僚のエレベーターガールが奥山佳恵、同じデパートの受付が中嶋朋子、その上司が佐野史郎、宮沢に思いを寄せる同僚が東幹久、宮沢と同じアパートに住むサラリーマンでやはり宮沢が気になっているのが赤井英和。今でも一線級の俳優がずらっと並ぶが、佐野はこのとき「冬彦さん」でブレイク寸前であり、まだほとんど一般には認知されていなかった。作中では中嶋と不倫する卑怯な中年男である。赤井はドラマ初出演、映画「どついたるねん」で役者デビューはしていたが、まだまだ俳優としては未知数の評価であった。ちなみに赤井の女房役が相楽晴子。「どついたるねん」でも赤井の相手役であったが、ここでは夫婦役を務めたとあって、世間では赤井と相楽が本当に夫婦であるという誤解も生まれた。宮沢は前年に写真集「サンタフェ」を発表しており、ドラマ終了後には当時関脇の貴花田と婚約。しかし同年末には突然婚約を解消し、その後かなり長期間、精神的に不安定な時期を過ごした。以後、それまで天真爛漫だった彼女のキャラクターははかなげで影のあるものとなる。そう思えば、「東京エレベーターガール」は彼女の人生前半の幸福のピーク時の作品であったかも知れない。

とまあ、結構覚えている自分も自分だが(ディテールで間違いがあったらご容赦)、25年後のワカメにエレベーターガールという職業を与えた制作スタッフもまた、このドラマを覚えていたに違いない。女の子の憧れの仕事ではあるが、時代遅れでもある。夢をかなえたはずなのに、いつまでもそこにいることは許されない。そういう切ない設定が宮沢には似合っている。現実の世界では、エレベーターガールどころか舞台となった多摩そごうそのものがなくなってしまったが。

意図したわけではないが、このブログではオトナグリコの登場人物4人をそれぞれ取り上げたことになる。自分で思っている以上に、あのシリーズが気になっているようだ。

カツオ タラオ イクラ

Wakame

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2009年6月18日 (木)

トークショーの帝王/石田純一

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少し前は「トレンディドラマの帝王」と言われた(ような気がする)石田純一であるが、ここ数年はもっぱら「トークショーの帝王」である。試しに「石田純一 トークショー」で検索してみると、出てくる出てくる。もちろん最近のものばかりでなく2~3年前のものも引っかかってくるが、ダブッているものを省いて時系列で列記するとこんな感じである。

・東京モーターショーで青田典子とトークショー(07年11月)
・結婚情報会社のバレンタイン記念イベント(08年02月)
・映画「プライスレス 素敵な恋の見つけ方」特別試写会ゲスト(08年03月)
・大学生SNS「LinNo」発表会ゲスト(08年07月)
・映画「レッドライン」イベントで川村ゆきえとトークショー(08年07月)
・琵琶湖遊覧船ビアンカ上でトークショー(08年08月)
・JRAエリザベス女王杯レース展望&トークショー(08年10月)
・アメブロX'masパーティー(08年12月)
・映画「サーティーン」特別試写会で優木まおみとトークショー(09年02月)
・スイート・スイーツ ジャパン2009ホワイトデーSPトークショー(09年03月)

タレントの「トークショー出演回数」のランキングなどおそらくないと思うが、あったら石田純一はかなり上位ではないだろうか。強力なライバルにIKKOや押切もえなどがいるが、純一も負けてはいない。

トークのテーマはほぼいずれも「恋愛」である。いやはやこれだけいろんなところで色恋の話を披露できるというのも、ひとつの芸だと思う。NHKの「プロフェッショナル」に推薦したいくらいである。いや、皮肉ではない。私が知っているタレントの中でも、石田純一はトップクラスのサービス精神の持ち主である。どこに行っても「結婚は?」「好きな女性のタイプは?」みたいなことばかり聞かれるのは想像に難くなく、普通の男なら「オマエらそれしかないのかよ?」とすねてみたくもなるものだ。しかし石田は嫌な顔ひとつせず、ワンパターンの質問でも今初めて聞いたような顔で真剣に答え、さらには「今日は手ごわいお客様が多いですね」とプラスαの一言を付け加えてくれる。こういう一言が、参加したお客の思い出になったりするのだ。

また、石田の凄いところは、相手がだれであってもそれなりにトークがサマになるところである。テレビは台本が用意されていることが多いのであまり目立たないが、フリートークの場合、相手によっては話が全然弾まないタレントも結構多いのである。石田はどんなシチュエーションでもちゃんとお客を楽しませてくれる。これもポイントが高い。

「知名度があり」「気の利いたトークができる」さらには「お得感がある」。要するに、石田純一はイベントの主催者やキャスティング会社がもっとも安心して呼べるタレントなのである。実際、私がかかわったホテルや商業施設のトークショーは、企画段階ではほぼすべてといっていいほどゲスト候補に石田純一の名があったように思う。俳優で声がかからなくなっても、十分に「トークショーのプロ」として食べていけるだろう。

ところで石田が「恋愛」以外で注目されることといえば「ノーソックス」である。トークショーではバーにあるような座の高いイスを使うことが多いが、石田が出るときはやや低めのイスが多いように思う。それだと腰を下ろすと自然に膝が曲がり、足元が見える。舞台設営の人があえて用意していると思うのだが、ちょっとうがちすぎだろうか。

Jun

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2009年6月14日 (日)

「変」/阿部サダヲ

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阿部サダヲを一言で説明するとしたら「変」だと思う。彼の「変」とは違和感に近いもので、演技が下手なわけではないのに、サラリーマン、教師、探偵、医者、何を演じても「そんな奴はいねえだろう」と思わせる「変」なのである(もちろん私個人の感想なので「そう思わない」方はご容赦いただきたい)。彼がいるだけでその場には非日常的な空気が漂う。

最近の仕事では、湖池屋ポテトチップスの「コイケ先生」シリーズがたまらなく変で好きである。湖池屋のHPには念いりに過去に放映したCM作品のほとんどに「WEB特別版」を用意して公開しており、3分近くのサダヲワールドを堪能できる。おそらく大まかな設定と出だしの多少のセリフ以外はまったくのアドリブだろう。30秒を過ぎたあたりから阿部はじめ俳優たちが「考えながら」セリフを口にしているのが目立つようになる。なんか薄ら笑いを浮かべていたりする。生徒役の子役たちは基本無言なのだが、それがさらに不安定な空気を助長しており、見ているこちらが辛くなってくる。が、それはそれで面白いのが不思議だ。

最近は阿部をはじめクドカン、荒川良々、平岩紙、宮崎吐夢など、大人計画の俳優が単体で使われることが多い。ちなみに大人計画は劇団でありながら芸能プロでもあり、俳優のマネジメントもしている。つまりタレントに支払われるギャラの何%かは劇団に入るのである。これは劇団という慢性的に赤字体質の企業運営において大きなメリットと言えよう。

阿部に話を戻すと、彼のしゃべりは基本的に「自信たっぷり」である。間違っていようと何であろうと、歯切れよく「~です」と言いきってしまう。しかも妙にハイトーンの声で。それは芝居とわかっていても「変」であり、まぎれもなく阿部サダヲそのものである。

Sadawo

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2009年6月12日 (金)

再浮上に7年?/ムーディ勝山

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最近は映画の試写会にタレントがゲストとして呼ばれることが多く、我々キャスティング屋にとってはありがたい風潮である。一日だけの拘束であまり競合を意識する必要もなく、さほど準備や打合せも必要ないという点がうれしい。映画の内容とタレントの整合についても深くは問われず、「とりあえず旬のタレントならいい」みたいな甘さもある。ひとつ難があるとすれば、突然降って湧いたように仕事の依頼が来て、タレントのスケジュール確保に苦労するという点くらいだろうか。

最近印象に残った試写会ゲストは、ミッキー・ローク主演の『レスラー』に呼ばれたムーディ勝山である。映画は落ちぶれたプロレスラーが復活をかけて戦うという、いかにもアメリカ人の好きそうな「復活もの」。そのゲストにムーディは整合性がありすぎ、見ようによっては「シャレにならない」と言われそうなほどのはまりっぷりであった。一緒に加護亜依もいたが、おそらくこの試写会にはほかにもテツandトモ、波田陽区、ダンディ坂野あたりを呼んでいたのではないか。いなかったのはスケジュールが合わなかったのか、晒しものにされるのを嫌ったのか…。

ムーディのインタビューは夕刊紙、スポーツ新聞、ネットニュースでも流されたので見た人も多いだろう。「今、仕事は月に4本」「仕事がないので公園で一日を過ごすことも」「有吉弘行から再浮上に7年かかると言われた」「彼女はいるが結婚のめどが立たない」など、痛々しいエピソードが並ぶ。一時期の人気者が短期間でここまで落ちぶれるのかと怖くなるほどである。その点、現状の境遇が「自業自得」でもある加護は、理由がはっきりしているだけに納得のしようがあるかも知れない。

しかしよく考えてみれば、ムーディの記事の中で映画の紹介は「いちおう触れました」くらいの扱いで、ほとんどが彼の悲惨な日常についての内容である。つまり、ある意味、彼がミッキー・ロークを「食って」しまったわけである。ゲストを呼びながら映画があまり目立たなかったという点で、このキャスティングは失敗かも知れない。しかし、ムーディにとってはタレントとしてのパワーが失われていないことが証明されたわけで、まだツキは残っていると言えるのではないか。変に自虐ネタに走らず、相変わらずのひょうひょうとした芸で頑張ってほしい。まだまだ浮上のチャンスはあると思う。

Moody

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2009年6月 6日 (土)

代理店との共同作業について

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国内の上位広告代理店は、自前のキャスティング会社を持っているか、本社内に芸能事務所との窓口部署を用意している。要するに、わざわざ外部のキャスティング会社を使ってコストをかけなくてもいい体制があるのだ。それなのに、ウチのような会社にも大手代理店からキャスティングの依頼が来る。

身内の部署を使わないで当社に声をかけてくれる理由は、おもにプロデューサーとの個人的な関係があると思う。もちろん癒着とかそういうことではなく、以前に期待に応える働きをしたので、信頼感を持ってもらっているのだと理解している。カネをかける価値があると思ってくれているのだろう。もしくは社内のキャスティング部署の担当者と仲が悪いのか(冗談)。

代理店からの仕事はどのくらいの割合だろうか? 細かく数えたわけではないが、案件の数でいえば半分くらいだろう。最終的に成約した数を見れば3割くらいだと思う。要するに、タダ働きも多いのである。それでも大手代理店の情報力と企画力、案件の魅力度は、ウチのような小さなキャスティング会社が独自ではまず実現できないものなので、勉強という意味でも歓迎している。

ただ、エエカゲンにせえよと毒づきたくなるような代理店もある。「○月○日のイベントに呼べるタレントを提案してもらえますか?」みたいな依頼をしてきて、こちらが提案した後はまったく連絡なし。「返事がなければNGと思え」とでも思っているのか。こちとら正式に出演OKをとったタレントには、NGなら一日でも早くバラすように連絡をいれなければならない。無視されたらウチが信用を損なうのだ。こういういい加減な対応をされると、最初から成約させるつもりもなく提案だけ欲しかったのではないかと勘ぐってしまう。不思議なのは、そんな嫌われて当然の対応をしておきながら、数ヶ月後に再び「演歌歌手の××を動かせませんかねえ」などと電話してくる点である。こういうヤカラがいるから、「提案だけでも課金します」というキャスティング会社が出てくるのだろう。

ダメな代理店社員の特徴を要約すると「偉そう・ムチャ・連絡がない」だろうか。「ムチャ」で多いのは、今日の夕方電話してきて「明日中に提案がほしい」というような、あまりに時間のない依頼である。前述の「デキる」プロデューサーはこれの正反対で、ウチのような小さな会社でもちゃんと礼を尽くしてくれるし、ムチャは言うこともあるがその分はどこかで埋め合わせをしてくれるし、基本的に連絡がマメである。まあデキる人間というのはどこの業界でもそうだろう。ただ、デキないくせに勘違いした人間が多いのは、この業界の特徴でもある。

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2009年6月 4日 (木)

おやじカワイイ/菅野美穂

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サントリーの新商品「豊か」のCM。一面の麦畑の中、ビールを飲み干した菅野美穂のせりふは「おてんとさまさま、あんたはえらい!」である。この「あんた」が標準語の「あ」ではなく「た」にアクセントをおいた見事な関西弁なのである。ぼーっとテレビを見ていたのだが、「えっ?菅野って関西人だったっけ?」と急いで調べてみると「神奈川県」とあった。やられたなあ。どうってことのない脚本にちょいと味付けして視聴者をぐいっと引き寄せる、監督はどなたか知らないが小さく拍手を贈りたい。

ちなみにスタッフブログの制作裏話によると、監督が「豊か」CMで菅野の演技につけた注文は「おやじカワイイ」だったそうだ。そのイメージは前に彼女が出演したドラマ『働きマン』の主人公から来ていそうだが、私の中でその路線はいまいちしっくりこない。菅野のイメージは徹頭徹尾「女の子」であり、多少下品に缶ビールを飲んだところで、「お父さんのマネをしている娘」にしか見えない。

ユーキャンのCMのOL役のほうがずっといい。そっちでは、オフィスで悔しい思いをして唇をかみしめるようなシーンがあったが、あれこそが菅野のいちばんいい顔ではないかと思うのだ。「おやじ」なんかより、もっともっと「女」を極めてもらいたいものである。

菅野といえば、いまひとつ意図が良く分からないながらも印象的なCMがあった。男性の役者と夫婦(?)の設定で出ているチオビタの「愛情一本」シリーズである。2人でチオビタのパックを両手に持って走って家に帰ったりするのだが、あれはいったい何なのだろうか。チオビタを買ったからといってわざわざ疲れるようなことをしなくてもいいじゃないか。物干し竿を2人で家に担いで帰るパターンもある。そんなものを運ぶというのが唐突であるのに加え、2人で担げばそれほど重くもないだろうに、それであれほどへとへとになるというのも不思議である。もっとも「なんだこれ?」という疑問は、最後に菅野の笑顔のアップで吹き飛んでしまうのであるが。これも演出の妙といったところか。

Kannno

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