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2009年4月

2009年4月29日 (水)

幸福なマッチング/戸田恵梨香

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キャスティングにあたってもっとも重視するべきことは、出演者と商品のマッチングだと思う。その商品を宣伝する必然性がだれの目にも明らかであれば言うことはない(もちろんミスマッチをあえて狙ったものもなくはないが)。柔道家の井上康生が警備会社に所属してイメージキャラクター的な仕事をしているのは好例だと思う。

しかしこれが簡単には実現しないことがある。たとえば過去にある政府機関の広告に某ジャーナリストに出演してもらおうと交渉したところ、拒否されてしまった。こちらは「説得力がある」という理由で仕事を依頼したのだが、向こうの言い分は「政府の仕事をしているような色がついてしまったら、今後のジャーナリスト活動に支障をきたすので」。同じように、ソムリエ資格を持つタレントにワインの広告に出てほしいと依頼してもやはりNGであった。タレントや著名人が広告に出ると、商品に「お墨付き」を与えている印象をどうしても持たれてしまう。自分が自信をもって推薦できる商品なら良いだろうが、「頼まれて広告する」場合、慎重になるのは当然だろう。「その道のプロ」ならばなおさら、特定の商品の宣伝には協力できないと考えたほうが良い。商材とタレントがぴったりすぎると、タレントの側に嫌われる場合があるのである。

ならば、広告する商品を本当に愛好している人物をキャスティングできれば最高である。そういう例がないかと探してみたら、最近戸田恵梨香がゲームの「ぷよぷよ」のイメージキャラクターになったという。戸田は以前から「ぷよぷよファン」を広言していたので、企業にとっても本人にとっても幸福なマッチングと言えるだろう。ほかには、広告ではないが佐藤隆太が主演ドラマ「Rookies」の主人公に憧れていたとのことで、自ら「ハマリ役」を奪取した感がある。ということで、タレントは自分の好きなものをどんどんアピールしたら良いと思う。ブログに書けば検索で引っかかることもある。商品名で検索をかけて出てくるタレントを、キャスティング屋は放っておかないと思う。いやマジで。

ところで、戸田恵梨香といえば最近はカップヌードルライトの「服を脱ぎ捨てる」広告で注目を集めている。当然「裸」であるわけはないのだが、ああいう見せ方をするとそういうふうに見えてしまうという、似たようなことをアイドルの水着グラビアでやった覚えがある男性も多いのではないか。とにかく、女性団体からの抗議がないことを祈りたい。

Toda

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2009年4月25日 (土)

ギャラの支払いについて

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ギャラの金額についての質問はよくいただくが、支払い方法についての質問はめったに聞かない。なので、ここで簡単にご紹介したいと思う。

たとえばタレントをCMや広告に起用した場合、撮影を行った月にクライアントに対して一括で請求するというのが通例である。少々金額が大きくなっても、あるいは撮影したCMや広告が何年も掲載・露出されるとしても、基本は「撮影月に一括」である。

落語など演芸の世界では、前金もしくは現場精算を求められることがある。事務所から直接請求されるのはウチなので、そういう場合はクライアントにも前金対応をお願いすることになる。先日桂ざこばのインタビューでお世話になった事務所の方も言っていたのだが、「芸人ゆうのんは、緞帳があがってから下りるまで、芸を見せるのと引き換えにお代をいただくという考え方なんですわ」ということである。その件では、さすがに大金をインタビュー現場で渡すわけにもいかないので、事前に振り込むことにした。

年間契約のイメージキャラクターに大物タレントを起用する場合は、ギャラが何千万、何億とかかる場合もある。さすがにそのくらいの額になると何度かに分けて支払われることもあるが、契約スタート月に半分、残りを1~2回に分割といったパターンが多いようである。

以前あるクライアントにタレントの年間契約を提案した際、「一年契約するのだからギャラも総額の12分の1を毎月払う形にしてほしい」と言われたことがある。クライアントの言い分はこうである。「もしかしたらイメージキャラクターが契約期間中に不祥事を起こして広告が使えなくなるかも知れないし、一括でギャラを支払うのにはリスクを感じる」と。しかし申し訳ないが業界の通例に従って一括支払いをお願いした。クライアントにとっての一括支払いのリスクは、詳細を契約書に明文化しておくことで回避できるはずである。言うまでもないが、キャスティング会社は後ろ暗いことがあるから早くお金が欲しいと言っているわけではなく、「もしもの場合」の補償や対策を書面化することはまったく問題ない。クライアントに責のない不利益を負担させるつもりは全くないので、一括でのお支払いに何卒ご協力いただきたい、とお願いする次第である。

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2009年4月21日 (火)

白黒はっきり/桂ざこば

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先日、桂ざこばのインタビューをキャスティングした。大阪市内のホテルで約1時間、みっちりである。ざこばは今の芸名になる前は桂朝丸といって、懐かしのテレビ番組「ウイークエンダー」に出て名を売った。とはいえその後はそれほど全国ネットの番組には出ていないので、東日本で40歳以下なら知らない方も多いだろう。西日本ではトーク番組によく顔を出しており、人情家で涙もろく、思ったことは遠慮なく口にするキャラクターで、知名度・好感度ともに高い。

私がざこばを近くで見るのは初めてであったが、テレビで見るそのままの印象であった。とにかく回答がこの上なく明瞭である。

「~することなどありますか?」
「ない!」
「~などは買いますか?」
「買う!」
「~はどうですか?」
「分からん!」

みたいな感じである。「条件付きイエス」みたいな回答は一切ない。ときどき「これは書かんといてや」という話もあって、今思えばあれは同席したクライアントへのある種のサービスだったのかも知れない。ギャンブルの話、苦手な共演者の話、本当に面白いのはこちらのほうだが、もちろんここでも書くことはできない。

あと、テレビでは分からないが、声がとてつもなく大きい。普通にしゃべっていても普通の人の「怒鳴り声」レベルである。インタビュー中、私は一度電話をかけに部屋を出たのであるが、廊下にいてもかすかに室内の声が聞こえてくるのでびっくりした。それなりに格のあるホテルなので防音はかなりしっかりしているはずである。声が商売道具とはいえ、やはりプロの「基礎体力」の凄さを実感した。

意外なことといえば、ミニバンを自分で運転して現れたことだろうか。事前に打ち合わせした際、「車で行きます」と付き人の方に言われていたので、ワタシはてっきりタクシーで来るものと思っていたのだが、ホテルの駐車場で運転席から師匠本人が降りて来たときは驚いた。付き人は助手席にいる。こういう光景は初めて見た。帰りも本人の運転で去っていったので、普段からそうなのだろう。よほど運転が好きなのだろうか。本人を見て少々イメージが変わったとしたらこの点である。

ざこばといえば、某タレントの活動自粛をめぐる発言で一瞬注目されたが、それはこのインタビューの翌日であった。事務所関係者は肝を冷やしただろうが、本人は「そんなもん、なんぼのもんじゃい」くらいのものだろう。万一のことがあったらインタビューも出し辛くなるので心配したが、大事に至らず一安心である。そうなると、むしろインタビューを出す前に注目度が上がったということで、この発言も悪くはなかったという気になってくる。因果な商売である。

Zakoba

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2009年4月17日 (金)

地元イメージ/佐藤隆太

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佐藤隆太には「地元イメージ」がある。生まれ育った町で成長し、大人になってもずっとそこに住んでいるようなイメージである。かつて出演した「池袋ウエストゲートパーク」も「木更津キャッツアイ」も特定の地域が舞台であったし、昨年のサントリーダイエット生のCMでは下町の家具屋の息子という役柄だった。最近の吉野家のCMの設定は詳しくは知らないが、市川由衣とすれ違いざまに「おう、ユッコ」と声をかけたりするところを見ると、やはり地元民の設定なのだろう。「地元民男子には幼なじみの彼女」という、これは映画やCMでほとんどお約束である。

関西芸人や沖縄出身タレントは「地元イメージ」がアイデンティティなので別にすると、佐藤以外では江口洋介、柳沢慎吾、上地雄輔なんかが「地元」っぽい空気をまとっていると思う(柳沢はキャラクターイメージもなんとなく佐藤とかぶる)。女性では吹石一恵、長澤まさみ、スザンヌあたりだろうか。逆に「地元イメージ」の薄い俳優やタレントもいる。たとえば福山雅治、蒼井優、劇団ひとりなどを見ていると、どこにいても「ここではないどこかからやってきた」ように思える。まったく個人的な感想で恐縮だが。

踏み込んで考えてみると、「地元イメージ」は「不変」、「実直」、「家族ぐるみ」、「長い関係」などを示唆している。悪く言うと洗練性から遠く、頑固で保守的ということになるだろうか。しかし「地元にとどまる」とは「逃げない」ことであり、そこにはある種の覚悟のようなものがあるはずだ。その分、自分の足でしっかり立っている逞しさを持ち合わせており、だから「地元イメージ」の俳優やタレントは、広告ならば飲食や子売りなどの店舗系業種、あるいは地方銀行や信用金庫などにマッチすると言える。佐藤隆太などまさにその典型だと思うが、どうだろう。今後その方面の広告に起用されるタレントには注目してみたいと思う。

Ryuta

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2009年4月15日 (水)

サインを求めることの是非

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羽生名人の一件は驚いた。観戦記者がなんと対局中に羽生名人に扇とマジックを渡してサインを求めたというアレである。サインをして返した名人も名人だが、テレビ中継中だったというから何万人もの人がその不思議な光景を見たわけで、そんな中での「勇気ある」行動にある意味恐れ入る。新人記者かと思ったら、75歳の超ベテラン記者であったというし、朝日新聞の嘱託だったらしいが…。対局中の棋士にサインを求めるというのは、野球の試合中のマウンドでピッチャーにサインを求めるのと変わらない。そんな理屈は将棋を知らない人でも分かる。また「ついうっかり」であるわけもない。この記者は道楽で仕事をしていると言われてもしかたがないだろう。

クライアントはサインをねだってもいいと思う。「カネを払う」立場としてそのくらいのサービスを求めるのは問題ないだろう。だが、キャスティング関係者はNG。キャスティング会社の人間がタレントに会うのは仕事であり、当然その時間は頭をフル回転させて仕事のクオリティを上げるために使うべきで、サインなどねだっているヒマは本来ないはずだ。

おそらくキャスティング会社の人間でもタレントに会うならサインはほしいだろう。しかし、それをぐっと押さえてこそのプロではないか。これはコンサートの警備スタッフがずっとステージに背を向けて観客のほうを向いているのと似ている(給料をもらってアーティストの生演奏が聴けてラッキーという見方もあるが、あれはあれで「振りむきたい」欲求を押さえるのが大変だと思う)。そんな感じである。

Habusign

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2009年4月11日 (土)

一括仕入れとセット販売/山崎まさよし・杏子・元ちとせ

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「ウコンの力」のCMにボーカリストの山崎まさよしが出ている。それだけなら「CM曲を歌っている本人が出演しているのか」くらいの感想しかわかないが、後半「ウコンバー」の扉を開く二人の女性を見ると「おおっ」と思う。杏子と元ちとせではないか。

音楽ファンなら知っている方も多いであろう、山崎と杏子、元は「オフィスオーガスタ」という同じ事務所に所属している。同時に、彼らにあと数人のオーガスタ所属ミュージシャンを加えて「福耳」という音楽ユニットも結成しているので、見ようによっては「福耳のメンバーが出演しているCM」とも言える。それはまあどうでもいいが。

CMや広告のために何人かのタレントを手配する場合、同じ事務所から全員を手配できれば、キャスティング会社的には「得した気分」である。たとえば3人のタレントをキャスティングすることになり、3人がそれぞれ別々の事務所に所属していたなら、ギャラと条件の交渉を3回しなければならない。しかし「一括仕入れ」だと同時に3人分の交渉ができてしまう(事務所の体制にもよるが)。事務所が同じであってもタレント個々人のギャラは変わらないので、大きく手間が省ける分、キャスティング会社としてはうれしい。事務所にしてもまとめて所属タレントを使ってもらえたら決して損した気はしない。「セット販売」としてギャラをディスカウントしてくれることもあるので、そうしたら気分だけでなくお財布もお得ということになる。あ、この部分は代理店、広告主の方は見なかったことにしてください。それと「ウコンの力」CMでそういう話があったかどうかは私はまったく知らないので、読者の方も勘違いなさらぬよう。

Augasta

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2009年4月 9日 (木)

「自粛」について考えた

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ハリセンボンの箕輪はるかが肺結核で入院し、ライブの観客にも感染の可能性ありというニュースが流れた。そしてその4日後、彼女たちが出演している健康食品のCM放送の自粛が決定。メーカーの広報によると「箕輪さんご本人の体調のことと、お客様の心情を察しまして所属事務所との協議の結果」だそうだ。妥当な判断だとは思うが、本音は「健康食品のイメージタレントが重病ではカッコつかんだろう」というところだろう。

というわけで、今回はCM放送の自粛を余儀なくされるのはどんな場合かと考えてみた。

 LEVEL 4 即自粛 ⇒ 例)犯罪、死去
 LEVEL 3 騒動の拡大を見て判断 ⇒ 例)不穏等な発言・態度、悪い噂
 LEVEL 2 商品への影響を見て判断 ⇒ 例)病気、事故
 LEVEL 1 よほど悪質でなければOK ⇒ 例)不倫、離婚

かなり強引な整理であるが、まあ個人のブログなどそういうものである(開き直り)。いちおうLEVEL 4はもっとも「自粛」の可能性が高く、1はもっとも低いというイメージである。

上から簡単にコメントすると、LEVEL 4は「即自粛」の重大なもの。「犯罪」は言語道断、本人逮捕なら検討の余地もないだろう。イメージキャラクターの「死去」は不祥事でないにせよ、昨年の緒形拳の例を見ても(ブログにも書いた ⇒ 記事)、日本人の感性からすると広告主は「自粛」を選ぶものと思われる。

LEVEL 3は、世間の反応を見て、これはヤバイとなると「自粛」の判断がなされるもの。「不穏等な発言、態度」は昨年の倖田來未の「羊水」発言が記憶に新しい。個人的には冗談で済ませられる話だと思ったが、あっという間に大騒動に発展した。これにより一時期倖田はテレビから消えたのだが、企業のあまりの反応の速さに背筋が寒くなったものである。前年には沢尻エリカの「別に」発言があった。あまり目立たなかったが彼女も車のCMが予定より早く打ち切られたと聞いている。「悪い噂」は、もう懐かしい感もあるがボクシングの亀田長男が世界タイトルを取った試合の判定に批判が殺到、ローソンで(世界戦に合わせて)販売されていた弁当などのコラボ商品がお蔵入りとなった。文句なしの勝利ならば逆に広告効果は高かったであろうに、(実際、「疑惑の判定」の前日まで亀田はヒーローであった)先の読めないのがスポーツの難しいところである。

LEVEL 2は、本人の意思に関係ないので不幸なことではあるが、時と場合により、広告商品に対してマイナスイメージと判断されれば、容赦なく「自粛」の判断が下される。「病気」の最新事例は冒頭のハリセンボンであるが、もしCM商品が健康食品でなければ、あるいはかかったのが伝染性のない病気なら「自粛」には至らなかったのではないか。彼女にも広告主企業にも運が悪かった。「事故」も本人に非がないならCMに影響はないだろうが、「交通安全」のキャンペーンタレントが交通事故にあうといった「まずい偶然」があったなら、人知れずポスターなどが撤去される可能性は高いと思う。

LEVEL 1はよほど悪質でなければ「自粛」するほどでもないもの。「不倫」は、山本モナが降ろされたではないかと言う人がいるかも知れないが、あれは「番組を降ろされた」のであり、CMが自粛されたわけではない。報道番組のキャスターという職業において不倫は信頼性を損なう大問題であるが、注目されてナンボのCM界は比較的寛容と言えようか。もっとも「自粛」にはならなくとも、その後の仕事が間違いなく減るだろうが。「離婚」は先日紀香・陣内をネタに書いたのでそちらを参照されたい(こちら)。

上記例をまた別の角度から見れば、「どうしようもないもの」と「防ごうと思えば防げるもの」という分類もできる。死去、病気などは仕方ないとして、犯罪や不穏当な発言・態度はタレントが「あえて」しようとしなければ起こるはずがないし、事務所の管理の問題もあるだろう。もっとも、どこまで行っても「人を使う」リスクはゼロにはならない。だからこそ、事前の調査や契約の徹底でそれを最小化するのが広告代理店でありキャスティング会社である、と言うこともできる。キレイにまとまったところでまた次回。

Marisen

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2009年4月 7日 (火)

クライアントとのタッグ

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キャスティングが成功したと言えるのは、クライアントが求めるタレントを予算内で手配することができ、そしてタレントが期待通りの仕事をしてくれたときだと思う。そのために必要なのは、もちろん人的なネットワークや交渉力といったキャスティング会社の「力量」であるが、その上にクライアントのサポートがあれば成功の確率はさらに高くなる。具体的には次のようなことである。

1.本人OKなら即決定

タレントに「あなたしかいないんです!」と仕事を依頼したのなら、本人OKで即決定となるのが当然。なのにOKの返事を得て「では後日正式なご連絡を」とか「いちおう稟議が必要ですので」などという企業が意外に多いのである。やはり決まってから「ほかにもいい人がいるかも知れないし」みたいな欲が出てくるのだろう。しかしそれではタレント側に筋が通らない。

2.クライアントが熱意を見せる

年配のタレントが出演に難色を示した際、ギャラで動かすことは難しい。むしろ熱意をどれだけ示せるかが重要だと思う。以前私は、仕事の資料を事務所に郵送する際に、手紙を同封したことがある。クライアントがまじめな会社であること、依頼した仕事にひとかたならぬ思い入れがあることを熱っぽく書いた(もちろん手書きである)。そのことをクライアントに告げると、なんと担当者も「ぜひ私も」と、自分の言葉で依頼文を作りメールで送ってくれたのである。それも同封して送ったのは言うまでもない。

3.プロ意識をくすぐる一言

今回、いちおう妥当な線での予算はいただいていたが、「もしギャラがネックなら何とかしますから」とクライアントの担当者は言ってくれた。このご時世、決められた以上の予算を会社から引っ張るのは容易ではないであろうに、そう言ってくれたのがうれしい。そこまで言っていただけるなら、逆に「予算内で収めて見せましょう」とプロ意識がくすぐられるものである。

最初に「サポート」という表現を使ったが、これは正しくないかもしれない。理想を言えば「タッグチーム」のような関係といおうか。もちろん前提としてクライアントとキャスティング会社は「発注者と受注者」の関係であるものの、そういったことを超えて、ともに目的を遂行する「同志」のような気持ちになることがある。自分なりに「いい仕事ができた」と思うのは、そういうときである。

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2009年4月 3日 (金)

影の功労者は…/水嶋ヒロ・絢香

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いやとにかくたまげた。昼過ぎにネットニュースの見出しで「水嶋ヒロ・絢香入籍」という文字を見たときも、絶対「釣り」だと思った。たぶん映画かTVドラマで彼らが夫婦役をやることになって、それをそういうふうに書いているだけだろうと。「キム兄、ニセ札作りで逮捕」みたいな。

ところが夜のニュースで本当に記者会見の模様を放送していたからびっくりした。マジだったんだ。しかし紀香・陣内の破局以後、庄司智春・藤本美貴の婚約、ロバート秋山の入籍判明、そして今回のこれと、結婚のニュースが続いているのが面白い。自分の不幸と周囲の幸福がシンクロするという、藤原紀香というのは不思議なパワーを持っているようだ。そういえば彼女の雨女ぶりも有名である。話が逸れた。

水嶋・絢香のなれそめは雑誌での対談企画だったという。それを聞いてなんとなくうれしくなった。ウチのようなキャスティング会社が入っていたのかどうかは知らないが、2人を引き合わせたら面白いだろうと誰かが考えて、それがきかっけで2人が知り合い結婚に至ったのである。対談の企画がなければ二人は出会わなかったかも知れない。まあ今そんなことを考えているのはその企画の発案者と私くらいだろうが。

我々もキャスティングの仕事でタレントを(有名人もそうでない者も含め)同時に複数名手配することがある。そのとき、撮影の休憩時間などに、キャスト同士で愛が生まれているかも知れない。もちろん恋愛に限らず、監督や脚本家との出会いもあるだろうし、キャストされた仕事をきっかけにタレントが一皮むけることもあるだろう。あらためて考えてみると、キャスティングというのはさまざまな形でタレントに「チャンス」を運んでいる、なかなかロマンのある仕事と言えるかも知れない。

Mizuaya

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2009年4月 1日 (水)

貴重な「普通」/平岩紙

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なんとなくネットを見ていたらYahoo!知恵袋にこんな質問があった。

「『タイノッチ』にレギュラー出演している平岩紙さんですが、どうしても華があるようには思えません。毎週ただいるだけで、いなくてもよいし、存在価値がないのになぜ、起用されたのでしょうか。教えて下さい。」

「なぜ起用されたのか」知りたければテレビ局に質問すればよかろうに、ネットで不特定多数の人間に聞くというのが分からない。しかも「華がない」から「存在価値がない」とはあまりの飛躍ではないか。「タイノッチ」は深夜のかなりゆるい番組である。そんなところには、エネルギーが渦巻いているようなアグレッシブなタレントよりも、ほっこりなごませてくれる彼女のような人物が向いていると思うのだが、どうだろう。

それと、「華がない」と「派手さがない」を混同してはいけない。彼女は「華がない」のではなく、他の主役級の女優とは違う種類の華を持っているだけの話である。たとえば、平岩が出ているキヤノンのデジタル一眼レフのCMがあるのだが、これは個人的にかなり好きである。夫が買ってきたカメラにだんだんはまっていく「普通の」主婦ぶりがすごくイイ。CMの最後、夫が子供を肩車するのを撮った後の彼女の表情は、これ以上ないくらいに眩しい。「いい写真を撮れた」満足ではなく、自分の幸福に気づいた、そういう表情である。こういう役は、一般に「華がある」と思われがちな女優では絶対に嘘くさくなる。

平岩といえば、今は「神E」である。宝くじBIGの当選者を決める5人の神様の中の紅一点であるが、ここでもおそらく「普通っぽさ」を買われてキャストされたのだと思う。いわゆる「女神」イメージをストレートに人間におきかえれば、おそらく叶姉妹あたりが出てくるだろう。しかし浅野忠信をはじめとするBIGの神様たちは、テキトーでズボラで注意力散漫なやつばっかである。しかも神とはいえ人間を「こいつ」呼ばわりするなどガラも悪い。まあ、こんな連中が運命を握っているのだから、あなたも深く考えることはないですよ、いつかツキは巡ってきますよ、みたいなことをCMは言いたいのだろう。そういう「ゆる神」に、平岩はやはりぴったりはまっていると思う。

…と、書きながら今ふと思ったのだが、平岩が神様の一人にキャストされたのは、名前が「カミ」だからだろうか。だとしたらここまで書いたことの意味がなくなってしまうのでちょっと困る。

Hiraiwa

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