« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »

2009年3月

2009年3月30日 (月)

日本版スポーツエージェント

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

先週、プロゴルファーを多数抱えているスポーツマネジメント会社に連絡を取り、マネージャー(付き人的な「マネージャー」でなく、管理職の意味合い)の方に時間をいただいた。対応していただいたK氏は、「この人もプロゴルファーかな」と思わせる、スポーティーで精悍な印象(実際はプロゴルファーではなく、ゴルフはあくまで趣味だそうである)。ゴルフといえばやはり「ブルジョア」のスポーツである。「普通の体育会系」が多い他のスポーツマネジメント会社と違い、仕事がら大企業の重役と日常的に接しているだけあって、K氏は若いのに服装や身のこなしが洗練されていた。

実は、今回この会社にアプローチしたのは、少し前にプロゴルファーのキャスティングで苦労したからである。ゴルファーは芸能事務所などの「窓口」を持っていない選手が多く、出演交渉する際に個人宅に連絡をつけねばならないことがある。「苦労した」件も、クライアントの希望ゴルファーとなかなか連絡がとれず(実は海外の試合に参加していた)、結局成約しなかったのだが、ずいぶんと回答をお待たせしたという反省が残った。そこで今後同じことのないように、ゴルフの世界とのパイプを強化せねばと思ったのがきっかけである。

そのスポーツマネジメント会社は、ゴルファーとウチのようなキャスティング事務所やスポンサー企業との橋渡しを業務としているが、そればかりでなかった。選手もまたクライアントであり、彼らの健康管理や生活設計(税理士をあっせんして税金の相談に乗ったり)のサポートもしているのである。このようなことは欧米のスポーツエージェントではよくあるが、まだ日本では多くないのではないか。実は、その会社の創業者は有名プロゴルファーである。おそらく自らが必要だと思うサービスを実現したのだろう。

今は誰と話しても「景気はどうですか」みたいな会話になりがちなのだが、K氏によればこの会社もじわじわと不況の波を感じているとのこと。昨年秋以降、プロアマのコンペのいくつかが中止になったそうだ。そのようなこともあり、この会社がマネジメントしている選手を集めて近々大会を主催するという話を聞かせてくれた。大会名に企業名を冠する、いわゆるネーミングライツも売るそうである。最後には「スポンサーを集めてくださいね」と、営業されてしまった。そういうわけで、ゴルフで企業のイメージアップをお考えの方、ご関心おありでしたらぜひご連絡ください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月28日 (土)

今では良識派/タモリ

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

アコムのCMにタモリが出演している。消費者金融のCMといえばセクシー系女性タレントという先入観があるせいで、タモリをメインキャラとして起用するのは地味ながらインパクトがある。ブログ検索してみたところ、多数の人が同じことを感じて注目したようで、広告主・代理店としては「してやったり」だろう。

ところで、最近の消費者金融のCMのキャッチフレーズは揃って「ご利用は計画的に」である。これを業界内の自主規制、もしくはイメージアップ作戦だと思っている方も多いようであるが、実は媒体側の規制である。「じゃんじゃん借りてね!」的なCMを放送して問題が起こったら媒体も責任を問われるので、その予防策と思った方がいい。問題の本質を問うならば、節度を問われるべきなのは「借りる側」よりも「貸す側」だろう。だから私はどうしてもこの種の「計画的」CMに自家撞着を感じてしまうのだが、そんなことをタレントキャスティングブログで訴えても説得力はないのでやめておく。

いずれにせよ、消費者金融各社は規制によって「ご利用は計画的に」をオチにした広告を作らねばならないため、企業ごとの差別化が難しい。だからタレントを起用し、タレントの持つイメージを借りようという発想になるのだろう。消費者金融会社CMの有名タレント出現率は、他業界に比べてかなり高いと思う。そんな中でのタモリの起用である。「アコム計画クラブ」という「タモリ倶楽部」を想起させるネーミングを用いて、「計画的」を楽しく啓発しようという企画らしい。

ふと思ったのだが、「アコム計画クラブ」のサイトの中のタモリの写真が、なんとなく昨年のトヨタのキャンペーン「明日のハーモニー」っぽい。あまりCMに起用されることの多くないタモリであるが、続けて「非販売系」キャンペーンに使われるというのは、少なくとも彼に「良識」イメージがあると広告制作者は見ているのだろう。初期の狂気をはらんだ彼の「密室芸」を知っている人間としてはあまり共感しないのだが、そうなのだろうか。そういう意味では、やはり昔は「危ない」キャラであった竹中直人が同じく金融系の「計画的」CMのキャラクターになっているのは興味深い。危険な人間が年をとって丸くなったら、普通の人よりも見識があるように見えるのだろうか。そうだとすると、昔から普通の人であり続けている私のような人間は、何だか割の合わない話である。

ところで、最初にタモリの出ているアコムのWebバナー広告を見たとき、私は直感的に「リー○21」を連想してしまった。イメージカラーがともに赤だということもあるが、やはり彼のルックスによるところが大きい。タモリに頭髪系企業から広告出演のオファーは届いているだろうか。私にすれば、タモリは「計画的」よりもそちらのほうがフィットしていると思うのだが。

Tamo_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月26日 (木)

ステイタスの変更/藤原紀香・陣内智則

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

陣内智則・藤原紀香の離婚のニュースを聞いて、商売柄すぐに考えてしまったのが「CM契約は大丈夫か?」であった。離婚というのは重大なステイタスの変更である。ざっと調べてみたところ、二人とも今現在オンエアされているCMは少なく、また「夫婦」を前面に押し出したようなクリエイティブもないので、ほぼ影響はないようだ。

ステイタスとは、タレントが広告に起用される「前提」を言う。言いかえれば現実の「人となり」となるだろうか。具体的には身体的特徴、資格、特技、出身地、そして未婚・既婚といったものである。

ドラマ仕立てCMならば、タレントは架空の人格を演じるのでステイタスはさほど関係ない。だが、たとえば髪の長いアイドルがシャンプーのCMに出たり、バイリンガルのタレントが英会話学校のCMに出るというのは、本人のルックスや特技、すなわちステイタスがなければ成立しない。こういった場合、アイドルが無断で髪を切ったり、タレントが「実は英語は話せないんです」などとぶっちゃけ話をしたら、これはステイタスの変更であり契約違反である。広告主から間違いなくクレームがつくだろう。

そういった意味では、すでに離婚しているが保坂尚希、高岡早紀元夫婦は立派であった。夫婦で出演していたCMの契約が切れるまでは離婚せず、その間、週刊誌などで不仲が囁かれても絶対に認めなかった。プロならば当然だが、そういうことに無頓着なタレントが最近はあまりに多い。

今回、紀香も離婚のタイミングをはかっていたかも知れない。先述したようにステイタスが影響する契約はないながらも、やはり「ご祝儀」的な仕事があることは否めないし、そういう意味で広告主への迷惑を最小化するために、テレビ露出の少ない今の時期を選んだとしても不思議はない。ただ、情報が公になったのは彼女がアフリカに「長期出張」している期間中。その間に陣内の浮気の証拠は出てくるわ、友人女性がそれを裏付ける証言をするわ、ある程度決着がついたところで本人が帰国するわと、何かタイミングが良すぎるような気もする。まあ裏読みはサイゾーさんあたりにお任せするが。

離婚そのものがタレントの価値に影響するかというと、女性は不倫かもしくはよほどの悪妻でなければ関係ないと言える。関係ないどころか「傷つきながらも独立して新たな旅立ち」という好イメージまであるかも知れない。かたや男は面目丸潰れである。陣内は当面、藤原紀香という「一般人の憧れの対象を傷つけた男」として、男女分けへだてなく軽蔑されそうである。CM契約どころか、芸能活動にも支障をきたすかも知れない。

Jin2

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年3月24日 (火)

鉄仮面ふたたび/香椎由宇

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

キリン「のどごし生」CMでぐっさんが教育する3代目「新入社員」は香椎由宇である。下町イメージでビールが好きそうな池脇千鶴、「いまどきの新人」(という年でもないが)がぴったりのチュートリアルと続いた役だが、今回はがらっとイメージを変えてきた。ビールよりワインが似合いそうな香椎をぶつけてくるとは面白い。CM中、ちらっと見える履歴書では、彼女はMBA取得と書かれている(商売柄、こういうところに妙に注目してしまうのだ)。そして髪をひっつめ、黒ブチの秀才ふうメガネをかけて無表情での登場である。このスタイル、彼女の出世作となったドラマ『マイ・ボス☆マイ・ヒーロー』の女教師そのまんま。たしか作中では長瀬智也に「鉄仮面」と陰口を叩かれていた。

個人的には興味をそそられるキャスティングである。当然、これまでのイメージをリフレッシュするという意図があるのだろうが、「似合わない」タレントをあえてキャストするというのはなかなかに意欲的ではないか。これまでにはなかったキャラなので、CMのストーリーも新しい展開があるだろう。ここでちょっと予想。

・香椎が店頭で外国人に英語で「のどごし」の説明をする
・すごい知識を披露すると同時にすごい天然ボケもかます
・「メガネをとったら美人」という古典的展開
・来年の今頃は涙の卒業(たぶん海外に赴任)

さらに私が監督なら、彼女にピアノを弾かせてアンジェラ・アキのものまねをさせるが、それはないか。まあ以上は素人が思いつく程度のことなので、テレビではそれ以上の展開を期待したいと思う。

彼女のプロフィールを確認しようとWikipediaをのぞくと、本名「小田切悠子」とあった。おお、忘れていたが彼女はオダギリジョー夫人である。しかしまだ22歳、大学に在学中なので学生結婚ということになる。なるほど、それならCM中でも「実は人妻」みたいな展開があるかも知れない。

Yuu2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月22日 (日)

天才の受難/イチロー

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

実は前回WBCネタを書いている中でイチローについて一言書こうと思ったのだが、一回分の長さになりそうだったので、今回改めて独立したエントリにした。

いやはや大衆というのは怖いものである。WBCでいまひとつ調子が上がらないイチローに対して厳しい声が聞かれるようになった。最終ラウンドに残れたから良かったものの、敗退していれば間違いなく「戦犯」扱いだろう。昨夏、五輪で結果を出せなかった星野監督を叩きのめした「世論」が、今はイチローに牙をむいている。

「危機」の兆候は実は1~2年前からあった。スポーツ専門誌が伝えるメジャーリーグ情報の中で、イチローがシアトル・マリナーズ内で孤立しているという記事がちらほら見られたのだ。チームメイトはイチローのことを「チームの勝利よりも自身の記録を優先している」と思っており、なんと彼を快く思わないチームメイトによる「襲撃計画」まであったと報じられていた。私はメジャーリーグに関しては「マニア」を自称している人間であるが、過去にチームメイトに「襲撃計画」を立てられた選手など聞いたことがない。当然といおうか、マリナーズ広報はこの話をデマとして認めていないが、やはり「火のないところに」ではないか。「非の打ちどころのない」は「面白くない」に転化しやすいのである。

そして今回のWBCの不調。もちろん日本のマスコミ、および日本のファンは彼が今「自身の記録しか考えていない」とは思っていないだろう。だが、彼を補ってチームを勝利に導く青木や村田らの活躍を見て、「もうそろそろイチローでもないんじゃないの?」と思い始めた者がいてもおかしくはない。

CMキャラクターとして比較してみると、同じメジャーリーガーでも昨年引退した野茂英雄とイチローはまったく違う。野茂もまた「チームプレイヤー」の印象の薄い「孤高」イメージの選手であったが、彼に対するファンの目は優しかった。何度も挫折して表舞台から消え、そのたびに復活する姿にファンは自分を重ねることができた。野茂がCMに使われる際のキーワードは「夢」である。イチローはそうはいかない。本人は否定するだろうが、(一般人から見れば)大きな挫折もなく栄光の階段を上り続けている圧倒的な存在である。キーワードは「プロフェッショナル」もしくは「パーフェクト」だろうか。

五輪で敗退後、あれほどテレビにCMに引っ張りだこだった星野監督はほぼテレビ画面から消えた。そのありさまはまるで「なかったこと」にされたような怖さを感じたものである(そのことをブログにも書いた ⇒ こちら)。今回、もしWBCの決勝ラウンドでイチローが活躍できなかったらどうなるだろう。彼のCMが一斉にテレビから消えるようなことだけは勘弁してほしいのだが。

Ichi

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2009年3月20日 (金)

キャスティング屋の見たWBC

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

キューバを下して準決勝進出を決め、WBCが大盛り上がりである。普段「敵同士」のプロ野球選手たちが同じユニフォームを着て戦うという少年ジャンプ的な展開は、だれしも胸躍らせるものである。あとはもう少しアメリカの選手(及び所属球団)がやる気を出せば言うことはない。

ところで、サムライJAPANの面々には広告キャラクター契約をしている者がどのくらいいるだろう。メンバーは全員で28人(村田修一離脱後に栗原健太が召集されてるので延べ人数では29人)いるわけだが、各選手の広告・CM出演状況を調べてみた。結果、ローカルCMまでくまなくチェックしたわけではないが、過去も含めて広告出演の経験があるのは8人(所属球団のPR的なもの、およびスポーツ用品会社のアドバイザー契約は除く)。意外に少ないか?列記すると次のようになる。

◆ダルビッシュ 有 (日本ハム)
 エアサロンパス、ダイドーD-1コーヒー、セイコーブライツ、タカラ缶チューハイ 他

◆田中 将大  (楽天)
 オロナミンC、はたちの献血 

◆松坂 大輔 (レッドソックス)
 アサヒビール、アクエリアス 他

◆藤川 球児 (阪神)
 ジョーシン(大阪の家電量販店)

◆城島 健司 (マリナーズ) 
 福岡銀行、ベスト電器 他

◆川崎 宗則 (ソフトバンク)
 西日本鉄道、タカミヤ(釣り用品)、ゲータレード、日本防炎協会、ソフトバンク 他

◆福留 孝介 (カブス)
 メナード青山リゾート(ラジオCM) 、アーレックス(名古屋の建設会社)

◆イチロー (マリナーズ)
 エネオス、NTTコミュニケーションズ、日興コーディアル証券、日産スカイライン、
 ユンケル、一番搾り 他

やはりダントツ人気はメジャーでもトッププレイヤーのイチローと、モデル並みルックスのダルビッシュである。この2人に加えて松坂、田中マー君が「野球界の全国区タレント」ということになろうか(今回参加しなかったが松井秀喜もそうだろう)。藤川、城島、川崎、福留の契約の多くは所属球団の地元企業で、CMもほぼ地域限定である(城島の「実績」はホークス時代から続いている)。今後「全国区」に出世しそうな選手は、この中ではやはりルックスのいい川崎だろうか。

イヤラシイ見方かも知れないが、WBCは日本のトッププロでありながら知名度が高くない選手にとって絶好のアピール機会である。キャスティング屋の目から見ると、大活躍している青木宣親、アイドル的な売り出しができそうな中島裕之、いかにもサムライの村田修一あたりは、今後CM契約のオファーが来そうな気がする。WBCを機にどれだけ彼らが全国版のニュースに取り上げられるようになるかがカギだろう。

それはそうと。最近はスポーツマネジメント会社と契約している選手が増えており、WBCメンバーではダルビッシュ、田中、涌井、岩田がそうである。スポーツ選手のキャスティング交渉でいちばん苦労するのが「窓口がない」ケースであり、その際は関係筋からたどっていくという面倒な手続きが必要になるのだが、マネジメント会社という「窓口」を持っていてくれると労力は10分の1くらいで済む。キャスティング会社的には非常にありがたい傾向である。

Kawasaki

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月18日 (水)

子供がいるからカッコイイ/松雪泰子

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

ダイハツ・ミラのCMは「母と子」のドラマ仕立てシリーズが続いている。2年続いたYOU、柳楽優弥の『誰も知らない』コンビ(実はCMの監督も同映画作品の是枝裕和監督である)に続き、新シリーズは松雪泰子、林遣都がキャストされている。芸能業界の人ならピンとくるだろう。柳楽、松雪、林の3人はスターダストプロモーションの所属である。

松雪は実際に子供がいると言うと、意外に思う人も多いかも知れない。離婚した前夫との間に息子が一人いるのである。いくつくらいかと調べてみたら情報はなかったが、結婚したのが1998年であるから、大きくても10歳くらいだろう。林遣都は18歳だから、CMが本当の母子なら結構早い出産だったことになる(どうでもいいが)。

芸能界で子供がいる女性は珍しくないし、そのことを全然感じさせない独身イメージの女性芸能人も少なくない。だが、子供がいると聞いた後に「そうは見えないねえ」ではなく「カッコイイじゃん」と思える者は少ないだろう。松雪さんは私にとってその部類である。子供がいると聞いてなおいっそう惚れ直すというような。それはどういうことかというと説明は難しいが、ひとつ言えるとしたら「若い女の子と張り合わない」ことだと思う。他者におもねらない、年齢なりの美しさを持つ女性は、「子供がいる」ことも付加価値になる。(ちなみにYOUも子持ちで「カッコイイ」。ダイハツはセンスいいなあ)。

ところで、このエントリを書くためにミラのCMをl繰り返し見て気がついたのだが、息子・遣都と背中合わせでストレッチする松雪さんは、「息子に背負われる」ばかりで「息子を背負う」ことはない。やはりあの細さでは足腰がもたないのだろうか。などとお節介な心配をしてしまった。

Mira_img_cm01_007

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月16日 (月)

ズラモデル探し、その後

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

少し前に記事にした「頭髪系」クライアントのモデルだが、おかげさまで候補者のエントリーがあった。俳優のTさん30歳。映画出演歴が少々。顔写真を確認すると、大地康雄タイプといおうか、いや「薄さ」がである。前髪の下の地肌が見えており、いい感じだ。エントリーがゼロだったら格好がつかないぞと、心を覆っていた暗雲をTさんが吹き飛ばしてくれた。これほど薄毛の人が眩しく見えたことはない。

しかし、プロフィールを送った後のクライアントの返事は冷たかった。
「おそらくTさんはご自分では薄いと思ってらっしゃるでしょうが、我々から見るとまだまだ髪が多く、商品を装着する段階ではないですね。このレベルは難しいなあ。理想を言えば頭の前から上にかけてほとんどないくらいがいいんです」
もしTさんが聞いたらがっかりするべきなのか自信をもつべきなのか、判断に迷う回答であったがとにかくNGである。モデル探しは振り出しに戻った。

とはいえ、ただでさえ「ズラ」のモデルなどなかなかいない。その上「前から上にかけてほとんどないくらい」などとより厳しい条件を付けられては・・・。締切が迫り、こうなったら私が町に出て素人を直接スカウトするしかないかと思ったら、締切ぎりぎりにもう一人のエントリーがあった。今度はタレントのOさん40歳。写真を見て思わず「キターッ!」と叫びそうになった。目がクリッとして眉が太い「西郷さん顔」であるが、まさに「前から上にかけてほとんどない」状態ではないか!今度こそいけるだろうと、私はOさんの写真をクライアントに送った。「オッケーです」の回答を予想して。

だが、クライアントはOさんが写真で色黒に見えることを気にしていた。さすがに髪の状態は(商品装着には)非常に良いらしいが、肌が黒い人はズラモデル的にうまくないというのだ。

そうこうしているうちに期限となり、結局TさんとOさんを候補者としてクライアント社内で会議にかけることになった。Tさんはてっきり落とされたと思っていたのだが、ほかにめぼしい候補がいないことと、さすがに俳優だけあて顔立ちがきりっとしており、顔で選ぶとしたらOさんよりTさんのほうがいいらしい。しかし商品装着が「サマになる」のはOさんである。どちらも「帯に短し」で、慎重に検討したいのだそうだ。

さらに、クライアントは私にとんでもないことを言いだした。
「Tさんに、少し前髪を剃ってもらうことってできます?」 
あんたらは鬼か!ただでさえ残り少ない前髪を剃れと!?しかしこれも仕事である。事務所を通して恐る恐る聞いてみると、「仕事にさしつかえない範囲ならば」と一応のイエス回答。ありがとう!あなたはプロだ!

というわけで、結果が出るのは来週である。はたして栄冠、もとい高性能カツラはどちらの頭上に輝くだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月14日 (土)

キャスティングの「打率」

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

ある大手広告代理店のクリエイティブの方と話をしていて、「プレゼン費用」の話題になった。キャスティングにおけるプレゼン費用とは、条件に応じたタレントのリストアップ、ギャラやスケジュールの裏取りといった作業のコストである。具体的には人件費と電話代ということになろうか。その方がよく使うキャスティング事務所はプレゼン費用を請求されるのだそうだ。要するに、成約しなかった場合でもキャスティングのために動いたならばお金がかかるということである。

当社は今の段階ではプレゼン費用はいただいていない。あくまで成約ベースでの課金とさせていただいている。まだ仕事やお客を選ぶような立場ではないし、できるだけお問合せの間口を広げておきたいという意図もあって、クライアントに負担をかけないスタンスをとっている。ただ、動きはしたけれど成約しなかった案件はたしかに多く、プレゼン代を請求する同業者の気持ちは痛いほどよく分かるし、それがビジネス的には正しいと思う。交渉し、スケジュールを確保したタレントをクライアントがなかなか決めてくれず、さんざん待たされた挙句「企画自体を見直すことになった」などと言われた日には、もう二度とそのクライアントからの電話には出るまいと思ってしまう。思うだけだが。

キャスティングにかけるエネルギーは、提案40%、交渉50%、成約した後の本番10%、みたいな割合だろうか。言いかえると、キャスティングとは成約までにほとんどのエネルギーを使い果たすような仕事なのだ。それなのに「とりあえずタレントを検討してみようか」くらいの感覚で仕事を振ってくる企業や代理店の多いこと・・・。野球は3割打てば一流打者であるが、キャスティングはどうだろう。プレゼン代を請求するということは、大手キャスティング事務所もそれほど「打率」は高くないことがうかがえる。当社の「打率」を計算してみると、うーん…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月12日 (木)

タレント事務所の経営危機

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

ゲンダイネットの記事に「芸能人も不況 中小プロ突然死」なるショッキングな見出しを見つけた。、ミクシィニュースなどにも転載されたのでご覧になった方も多いだろう。まだまだ底の見えない不況の中、テレビ番組の製作費カット、企業の広告予算の削減で、経営に行き詰まる芸能事務所が出てきたというニュースである。以下一部引用。

たとえば吉本興業は09年3月期の連結純利益が前期比61%減の12億円になりそうだと発表。また、ホリプロも連結純利益が前期比96.8%減の5100万円になる見通し。いずれも、番組制作費の抑制とCM需要の減退が理由だという。

そして芸能関係者の証言として次のような言葉が掲載されていた。

私が知っているだけでも毎月2~3件のプロダクションが倒産、廃業に追い込まれています。今年に入ってKABA.ちゃんの元所属プロが廃業し、先月は大物女性歌手がいる事務所が“採算が合わない”として部署を丸ごとリストラしました。

夕刊紙の記事だしオーバーに書いているんだろう、と思った方も多いだろう。そうでもないのだ。私が知っている芸能事務所の一つは先日から連絡が取れなくなっており、また別の事務所から「3月某日付けで事務所を解散します」という挨拶メールが届いた。メールには諸般の事情により、としか書かれていなかったが、景気が良くて解散する会社などないだろう。この会社も今月に入ってからメールの返信がなかったので、もしやと心配していたところであった。

テレビ番組の制作費カットについては、もちろん不況は突然だったとしても、まったく予測不可能ではなかったかも知れない。テレビ番組が低俗化しすぎて視聴者にそっぽを向かれ始めていたのは不況以前からであり、その背景には制作者の能力の低下があると言われている。面白い番組を作れないから著名なタレントに頼りきりになってしまったということである。景気の良し悪しとは別に、こういった流れが見直される時期が来るのではないかと個人的には思っていた。実力あるタレントを地道に育ててこなかった事務所、もしくは実力以上の評価を受けているタレントに頼りきっていた事務所が淘汰されていると言われれば、否定はできないだろう。

とはいえ、自分がかかわっている業界で、過去に取引もあった事務所が人知れず姿を消すのは忍びない。まあ芸能事務所は「人材」があれば電話一本でもできるフレキシブルな業態である。基本的にたくましい人々がやっているので、おそらく廃業した事務所もいつか復活するものとは思う。芸能というのはなくても困らないが、絶対になくならないものでもある。チャンスはどこかにある。お互い厳しい時期をしのぎながら、知恵を絞って生き残っていければと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月10日 (火)

ハーフの需要/ベッキー

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

普段はマヒしきっている感もあるが、私たちの身の回りの広告は外国人だらけである。しかし外国人モデルが出ている広告を落ち着いて見てみると、それなりに傾向があることが分かる。洋服、宝石、毛皮、結婚式場、ショッピングモール、百貨店などは外国人が使われることが多い。対して、自動車(国産車)、不動産、携帯電話、家電といったジャンルはほぼ日本人のみである(ソフトバンクの「お兄さん」は例外)。こうして見ると、何でもかんでも外国人を連れてくれば良いというわけでなく、生活感のある商材は日本人、夢や非日常感を感じさせる広告は外国人を使うという使い分けがなされていることが分かる。

さて、外国人と日本人の中間に「ハーフ」という人々が存在する。モデルの世界では「ハーフ」は貴重である。最近もあるクライアントからいただいた依頼で、商業施設のパンフレットに使うモデルだったのだが、デザインラフを見ると外国人を使っても良さそうな印象であった。が、あえて「ハーフモデルをお願いします」と。クリエイティブディレクターが言うには、「ある程度の夢や非日常感は必要だが、外国人では現実味がなくなる」ということで、まさに「中間」を求めるご要望であった。しかし「夢」とか「非日常感」をモデルの国籍で調整する感性はこの国独特だろう。

ところで、ハーフのタレントでもっともよく広告に使われているのは誰だろうと考えてみたのだが、ベッキーではないかと思う。宝くじ、海外旅行、油性マーカー、ラーメン、ヘアカラー、たまに「ボジョレヌーヴォー親善大使」などの仕事もしており、商材的には「夢」も「現実」も両方器用にこなしていると言えそうだ。彼女が今とまったく同じキャラクターで純日本人顔だったらどうだろうと考えると、やはり「ハーフ」がアピールポイントになっている点は間違いないと思う。

2_2

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月 8日 (日)

意外に難しい、ズラモデル

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

このブログがどんなキーワードで検索されたのか分かるのは何度も書いている通りだが、週に一度は見かけるのが「カツラ タレント」「ズラ 芸能人」のたぐいである。なぜ世間がそんなにタレントの頭髪に関心があるのか、正直分からない。公表するようなものではないからタレント的には「秘密」なのだろうが、一般人がそれを知ったからといって得した気分になるとも思えないのだが。

そんなことを考えていたら、頭髪系の会社からキャスティング依頼をいただいた。ズバリ、その会社の商品を「装着」して、ビフォーアフターの撮影をさせてもらえる男性モデルを探してほしいという。予算的にも露出範囲的にも有名タレントを使うほどではないので、「ルックスが良くて頭の薄い男性であれば」ということである。

外国人は比較的薄毛なので「外人でもいいですか?」と聞くと、「外人さんは薄くてもカッコイイですからねえ。装着前は情けなくても付けたらカッコイイって感じの日本人が理想なんですが」と担当者。おっしゃる通り、有名人を使うのでなければ、広告の主役はあくまで商品である。

しかしこれが実は難しい。考えてみれば、普段情けない顔のいけてない男性は最初からモデルという職業を選ばないし、「薄い」男性のモデルもいるにはいるが、その人たちの多くは開き直ってかブルース・ウィリス風に髪を短く刈り込んでおり、「商品」を部分的に装着したらかえって変なのだ。そうすると、なかなか該当者がいないのである。ふと思ったのだが、「薄い」男前はわざと生えている部分を伸ばして情けない印象を作り、「ズラ専用モデル」になったらどうだろう。実際にいるかも知れないが。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月 6日 (金)

声を聞きたい/宮崎あおい

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

おそらく演じた本人も驚くほどのヒットになってしまった「篤姫」が終わった後、宮崎あおいは髪を切っていきなりイメージチェンジしてしまった。スポーツ新聞などには「篤姫イメージを早く払しょくしたがっている」などと書かれていたが、そうだろうか。ひとつ大きな仕事の区切りがついたので、ちょっと変化をつけてみたいと思っただけのような気がする。いや、別に根拠は何もないのだが。 

前に彼女のことを取り上げたときにも書いたが、宮崎あおいの一番の魅力は「声」だと思っている。細いながらも、なかなかに張りがあって強い。「地に足が着いている」などという形容は一人よがりすぎるかも知れないが、一言でいえば「しっかりした」声なのだ。

宮崎の代名詞のようにもなった保険会社の新作CMは、彼女が海辺の小さなラジオ局でDJをするという設定である。その情報を知った時、CM制作者の中にも私と同じことを考える人がいるのだろうと直感した。おそらく彼女の「声」を主役にしたCMを作りたかったのだろうと。

しかし、である。実際のCMを見ての印象はいまひとつ。いや、ふたつくらいか。ラジオ局に寄せられた「いい話」を読み上げる宮崎から、いつもの「しっかりした声」は聞かれない。むしろしんみりした印象で、ワタシ的には「違うなあ~」なのである。もっと、相手を勇気づけるような内容の手紙にすればよかったのにと思うのは、私だけだろうか。おそらくシリーズとして何パターンか作るだろうから、次に期待、である。

54_20090304_00033

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月 4日 (水)

ディナーショーのキャスティング

Banner_04_3 ←よろしかったら一票

ここのところ、ホテルのディナーショーのキャスティング依頼が増えている。基本的にホテルであろうと通常のコンサートであろうとキャスティング会社の仕事はタレントを呼んでくることなのだが、ホテルは苦労するポイントが独特である。

こう言っては悪口になってしまうが、ホテルの責任者クラスの方々は「ヒットしている曲」や「売れているタレント」についてあまりご存じない。「知る人ぞ知る」アーティストは間違いなく知らない。そして、「自分が知らないから」という理由で、こちらの提案をいとも簡単にボツにしてしまう。そうして結局は、責任者の方の趣味にあわせた人選になってしまうのだ。

先日もひとつボツを食らったのだが、関西の某ホテルのショーのキャスティングで、東京で人気急上昇中の音楽家を推薦したのである。一般的な知名度はまだまだではあるものの、女性誌などではかなりの人気で、ショーのターゲットである30~40代女性にぴったりであった。しかも「これから関西で売り込みたい」ということで、格安での出演OKの内諾ももらっていたのである。その音楽家が取り上げられた雑誌もつけて、ホテルの担当者レベルでは「いけますよ!」の反応だったが、あえなく撃沈。

ホテル側の理屈も分からなくはない。通常のコンサートやイベントと違って、ディナーショーのチケットの大部分はホテルの営業マンが得意先に売るのである。だから一般的に知られていないタレントだと営業から反発を食らうというのだ。それはそれで分かるが、だったら、話を持ちかけてくるときに「今回は新しめの人でいこうと思っていまして」などと言わないでほしい。

チケットを売る営業の事情を頭に入れ、新しい路線を試みたいイベント担当者の気持ちを考慮し、最終的に決裁を下す責任者の好みを探る・・・。ホテルの仕事は、いつの間にかショーを見る「お客」の存在を忘れてしまうので注意しなければならない。

今回はちょっと愚痴っぽくなってしまった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月 2日 (月)

「予算以上」のタレントからOKをもらうには

 Banner_04_3 ←よろしかったら一票

キャスティングの依頼をいただき、「ご予算はおいくらでお考えですか?」と聞くと、お約束のように返ってくるセリフが「逆にいくらかかりますか?」である。相手の出方を先に見たほうが交渉を有利に進められると思う方が多いようだが、キャスティングに関してそんなことは全然ない。

ちょっと想像していただきたい。「○○という会社があなたに広告に出てほしいと言っています。仕事内容は(~略~)で、いくらでやっていただけるかお見積りをいただけますか?」と持ちかけられたら、あなたならどう答えるだろう。金額を提示したからと言って仕事が来るとは限らない。「どうしても仕事がほしい」という切羽詰まった状態でなければ、ちょっと高めに回答しようと思うのではないか。

ならば、これならどうか。「○○という会社があなたに広告に出てほしいと言っています。仕事内容は(~略~)で、ギャラは××万円です」。これなら即イエスかノーで答えられる。これまでに何度も書いているが、タレントに明確な料金表はない。そういう場合、「いくらですか?」と聞かれるより、「この金額でお願いします」と言われたほうが、だれしも回答しやすいはずである。

さらに「あなたが第一希望なんです。あなたがOKと言ってくれたら即決定です」と迫ることができれば、「予算以上」の格のタレントからOKをもらえる可能性がある。タレント側にとって、「即決定」ほどうれしいものはない。撮影などの日程がある場合、出演OKの返事をしてから決定まで、そのスケジュールを空けておかねばならないからである。それが即決定で、そのうえ料金交渉のわずらわしさがなくなるのなら、「早割価格」でやってやろうと思うのではないだろうか。

相見積もりをとって精査する、といった一般企業の購買部のような発想は、タレント起用においてはあまり意味がない。最初から手の内を見せても何もデメリットはないと思うのだが、どうか。実際、キャスティング慣れした企業の担当者は、まっさきに予算を教えてくれるものである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年2月 | トップページ | 2009年4月 »