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2009年2月

2009年2月28日 (土)

現役アスリート起用の難しさ

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現在進行形のキャスティングで、ちょっと苦労している。クライアントからの要望は「ホームページにスポーツ選手のインタビューを掲載したいので、選手のキャスティングを依頼したい」。と、そこまではいいのだが、「現役選手で」の条件付きなのである。

現役スポーツ選手は何かと広告出演に関して難しい点が多いのだ。要約すると次の3点になろうか。

1.オリンピック選手は協会の規制が多い

今回、クライアントが第一希望にあげたのは昨年の北京五輪に出場したA選手。マネジメント会社に問い合わせてみたところ、先日、A選手はオリンピック協会の「シンボルアスリート」に指名されたとかで、広告契約は見合わせるよう協会から指示が出ているとのこと。じゃあいつ広告解禁になるのかと聞くと、マネジメント会社さえ「分からない」。オリンピック選手のギャラは強化費用に充当するため協会が仕切ることが多く、広告出演は選手の自由にならない場合が多いのである。

2.アマチュア選手の多くはサラリーマン

ほとんどのオリンピック選手は企業に所属しているサラリーマンである。したがって、会社の許可なしに他社の広告への出演はできないわけだが、基本的に彼らは所属企業のイメージキャラクターみたいなものである(ALSOKの井上康生他のCMが分かりやすい例)。選手の所属企業にとって、他社の広告に協力するのはそもそも想定外と思ったほうが良い。

3.プロアマ問わず、シーズン中は競技に集中

ならばプロなら良いかというと、たしかに実業団選手よりは実現性は高いが、シーズン中はまず無理。言うまでもなく、スポーツ選手は試合のない日もトレーニングをしている。試合が近くなると、試合の日にコンディションをピークに持って行くべく、生活すべてを本番に合わせて体調管理しているのである。「ちょっとくらい時間をくれたっていいだろう」というのは部外者の理屈。シーズン中に対応するのはせいぜいスポーツ新聞や雑誌の取材くらい。現役プロスポーツ選手の広告出演や撮影は、ほとんどシーズンオフに行われているのである。よって、スポーツ関係者をお望みならば、現役を引退して評論家となったスポーツタレントをお薦めしたい。彼らは「出ること」が仕事なので交渉もしやすい。

と、ご説明したのだが、クライアントはあくまで現役選手のアイデアを捨てきれないご様子。候補者のリストまで出してこられたので、仕方なく交渉したが当然オールNG。どうしてもとおっしゃるなら、今からプロ選手のオフの予約をとっておくか、今がオフのスポーツを探すしかないですよ。

Medalists

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2009年2月26日 (木)

ふたたび頂点に/安室奈美恵

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「そこそこ」のタレントが「そこそこ」のまま長く生き残ることはできる。しかし、一度頂点を極めたタレントが頂点でなくなると、「そこそこ」でとどまることができず、いつの間にか消えていってしまうパターンが多い(と思う)。そして過去のトップスターがふたたび注目を浴びるとしたら、たいていがイロモノ的なピエロとしてである。

昨年、安室奈美恵がヴィダル・サスーンの広告キャンペーンに起用され、シングルが久しぶりに(9年ぶりだそうである)チャートの1位に返り咲いた。これは個人的には凄いことだと思っている。もちろん安室は落ちぶれていたわけでなく、出す曲はベスト10に入っていたのだから十分に一流の歌手なのだが、かつてほどの「国民的な」人気は陰りを見せていたと言っていい。そんな彼女が決してイロモノや別路線に走ることなく、相変わらずの歌とダンスで再び頂点を極めたのだ。こういう例はあまりないのではないか。

もちろん、ヴィダル・サスーンの広告の後押しを抜きに彼女の「カムバック」は語れない。渋谷のビルの壁面を使った特大のサインなどは(語弊はあるが)暴力にも近いある種の「力技」であった。しかし結果論ではあるが、それだけの広告に耐えうるパワーを持つタレントは安室しかいなかったとも言える。筋書き通りの頂点復帰、などと言ったら関係者には叱られるかも知れないが。

余勢をかって、今度はコカコーラのCMが始まった。もちろん安室は歌とダンスを披露している。野球で言えば速球派投手がまだまだぐいぐい速球で押している印象と言えようか。彼女が変化球投手にスタイルを変える時期も来るのだろうか。

Amro

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2009年2月20日 (金)

広告主にも拍手/忽那汐里

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当り前かも知れないが、企業は大きくなればなるほど保守的であり、「実績のある」タレントを使いたがるものである。会社案内やホームページを見ると「先進性」をうたった会社が結構多いのに、だったらイメージタレントが「間違いのない人選」なのはいかがなものか。

大型のクライアントに「来年のイメージキャラクター」を代理店が提案するときは、当然何名かの候補が提示される。ウケが良いのは「そこそこ実績がありつつ、まだイメージが新鮮」なタレントであり、代理店はそのタレントを「本命」に据える。そして「無難路線」、「意表を突く路線」、「期待の新人」あたりから適当な人数を揃えてプレゼンする(プレゼンの現場にキャスティング会社は立ち会えないので、聞いた話による)。結局「本命」以外はみんな「本命の引き立て役」である。

それだけに、新人タレントが大きなクライアントのCMに抜擢されるのを見ると、自分に関係がなくてもうれしい。最近では新垣結衣の後任のポッキーのキャラクターに、新人の忽那汐里(くつなしおり)が起用されている。なんとなくガッキーとイメージが似ていて、それほど劇的にイメージ一新というほどではない。が、しかしダンスはこの子のほうが堂に入っていて、少なくともガッキーが去ってがっかりということはない。CMのインパクトもあるし、これをきかっけに大きな仕事が舞い込むのではないかと思う。

企業のメッセージは、広告やCMのキャッチコピーばかりではない。イメージキャラクターもまた重要なメッセージであると思う。私たちが音楽や読書や服装の趣味で人を知ろうとするように、どんなタレントを使って広告するかということは、視聴者が企業という「得体の知れない存在」を理解する重要な手がかりなのだ。新人を思い切って登用する会社はチャレンジ精神があると思うし、あるいは無名でも素晴らしいアーチストを発掘して広告に起用する会社は視野の広さやセンスを感じる。反面、つい最近まで競合会社の広告に出ていた有名タレントを使う会社は、横並び思考の保守的な会社だろうと思う。もちろん良い悪いの問題ではない。ただ、忽那汐里という未知数の新人を「使える」グリコには魅力を感じると言いたいだけである。

全然関係ないが、忽那が学校の中で踊りまくるバージョンのポッキーCMは、最後のシーンで芋洗坂係長が踊っているので注目。

Kutu

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2009年2月18日 (水)

オネエ系が好かれるわけ/假屋崎省吾

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最近いろんなところでよく見るなあ、カーリー。女性誌はもちろん、特定の人だけに配布される媒体、たとえばクレジットカードの会員向けの会報であるとか、百貨店の通販カタログであるとか、そういう類の雑誌にもしょっちゅう彼のインタビュー記事が出ている。と思ったら、某ホテルのロビーには、彼のトークショーのフライヤーがあった。文化人タレントはテレビで見なくても「落ち目になった」などと思ってはいけない。ちょっと目に触れにくいだけで、結構忙しく飛び回っていたりするのである。

ところで假屋崎を含め「おぐねー」とか植松晃士とか、オネエ系の男が最近妙に持ち上げられている。彼らが支持される理由として、よく言われるのが「キツイことを言うけれどオネエっぽく言われると腹が立たない」だが、口調の問題だろうか。ほかのタレント、とくにお笑い芸人などは、キツイセリフの裏に相手を馬鹿にして笑いを取ろうとする下心が見えることがある。オネエ系の男たちにそういう腹黒さはない。基本的に相手に対する愛があるので多少キツイ指摘も腹が立たないのだと思うが、どうか。話が上手いとかネタが豊富という以上に、真剣でストレートな意見なら受け入れられるのだ。

また、同業者から聞いた話だが、オネエ系は「呼びやすい」のだという。少々厳しいギャラでも熱心に頼めば受けてくれるし、インタビューなども丁寧に応えてくれるのだそうだ。人気があるからといって横柄な態度をとることもないらしい。これは大きい。キャスティングに際して、我々専門業者はもちろんお客の満足を最優先して人選を考えるが、自分が嫌な思いをするかも知れないタレントを呼びたくないのは人情である。なるほど、キャスティングする人にモテているというのが、今のオネエMANブームを支える一つの要素なのかも知れない。

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2009年2月14日 (土)

仕事が仕事を呼ぶ/松下奈緒

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前回に続いてお役所の話題で恐縮だが、なぜか官庁の広告は「タレントもの」が多い。別に誰でもいいんじゃない?と思うようなところにも、有名タレントが贅沢に使われている。一般企業ならば、「なぜその広告に(費用のかかる)タレントが必要なのか」を社内で説得しなければならないと思うが、そのあたり、お役所はなんとなくハードルが低そうに思える。「予算があるんだから使っちゃおうか」みたいな(想像)。まあキャスティング屋としてはありがたいことであるが、やはり使うのが税金である以上は、吟味して使ってほしいものである。

いきなり話がそれてしまった。今回は松下奈緒の国税庁の広告について書こうと思ったのだ。最初に松下が微笑む確定申告のポスターを見たとき、まず連想したのが、昨年彼女が出演したNHKドラマ「監査法人」である。企業の粉飾決算を見逃す「なれあい監査」が横行する中、職務に忠実であろうとする「厳格監査」を推し進める会計士の一人が彼女であったのだが、その役がこの仕事を連れてきたのかも知れないなと。

だからといって、最初から「松下さんお願いします」と指名が入ることはまずない(あったらキャスティング会社の仕事はむちゃくちゃ楽である)。イメージキャラクターの人選には当然多数の代理店が提案する多数のタレントが候補にあがり、最後は3~5名くらいの中から絞り込まれるものである。おそらく、最後の3~5名は予算内でそれなりに注目度もあり、「だれが選ばれてもおかしくない」レベルだと思う。そうなったとき、芸歴に「NHKドラマ『監査法人』出演××役」とあるとどうか。税理士の役だったらもっと良かったかもしれないが、いずれにせよ官庁にもっとも求められる「公平・公正」なイメージが付加価値としてあるのだから、これは強い。

逆に言えば、若いうちはドラマや映画であまり汚れ役を受けないほうが良いかも知れない。広告の仕事を大事に考えているタレントならば、なおさらである。たとえば「銭ゲバ」でブラックな役を演じている松山ケンイチは、お役所の広告に声がかかるだろうか? 

Tax

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2009年2月12日 (木)

官製アイドル/セキュリーナ

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来年の今頃、まだこのブログが続いていれば、おそらく今日のエントリを振り返ることになると思う。

セキュリーナというのは経済産業省の「CHECK!PC」キャンペーンのキャラクターである。コンピューターウィルスに気をつけましょうという趣旨で、昨年は同じキャンペーンを上戸彩を起用して実施していたのだが、今年は別のアプローチを考えたのだろう。というより、別の代理店の企画を採用しただけかも知れないが。

ひと通り(義務感で)キャンペーンサイトを見ての私の感想は、「こんなの必要あるか?」である。わざわざこんな子供だましのキャラクターを作らなくても、もっと普通にセキュリティ対策の重要性を訴えたって良いではないか。何なのだ、ブログパーツまで用意して。パーツから感染したらシャレにならんぞ。

官庁の仕事なので当然複数の代理店のコンペになったのだろうが、あえてタレントを使わず「自家製」キャラクターを作るというのは、企画書的にはウケそうである。PCのセキュリティを守るのがテーマだから、ブログパーツで認知をはかろうという考えもそれ自体は悪くない。しかし、だからといって「じっくり見てみよう」という気にならないのだ。何だろう、失礼を承知で言えば「予算消化」っぽい仕事なのである。

広告会社にとってお役所の仕事は「美味しい」の一語に尽きる。まず「効果が問われない」。クライアントが一般企業だったら、大金を使わせて広告を作り、売上が上がらなかったら代理店は責任を問われる。もちろん代理店は売上を約束しているわけではないが、そういうものなのだ。さらにお役所の仕事は意外に、「予算が悪くない」。以前、某官庁で制作している啓発ビデオを見たことがあるのだが、誰が見るのか分からない教材に、全国的な知名度の俳優が何人も出ていてびっくりしたものだ。担当者は「ギャラは安いですから」と言っていたが、そんなものを作れるだけで大したものではないか。そして最後に、「お役所はつぶれない」。お金を取りっぱぐれることが絶対にないというのは、このご時世、なにものにも勝るメリットと言える。

だから、というのは無理があるかも知れないが、セキュリーナのアイデアも「これで日本国民のセキュリティ意識を高める!」という意気込みのようなものが感じられない。代理店が予算内で作ったものを「納品」したような印象なのだ。経産省に意地があるなら、今後セキュリーナを継続的に使って、このキャラクターを育てていくべきだろう。だから今回は冒頭に「来年の今頃」を予想するようなことを書いたのだ。来年、もしセキュリーナがどこかへ行ってしまって、まったく違うキャラクターやタレントで同じキャンペーンが張られていたら、私はやはり「予算消化だなあ」と思うに違いない。

Sec

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2009年2月10日 (火)

もはやCM王子/石川遼

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ハンカチ王子だのぽっちゃり王子だのハンドボール王子だの、やたら盛り上がった「王子」ブームも一息ついたといったところだろうか。石川遼ももうハニカミ王子とは言われない。もちろん言葉の賞味期限が過ぎたこともあるが、彼自身、いっときのアイドル扱いがそぐわなく感じるほど、短期間で大きく成長した感がある。

「本業」のゴルフの活躍もさることながら、次々決まるCM契約は勢いが衰えない。トヨタ、ANA、コカコーラ、ドコモと、世間は百年に一度の大不況であろうが、彼の周囲にはまったく無関係である。マスターズの出場も決め、そうなるとテレビ放映をはじめ、さまざまなところで彼を追いかけてお金が動くことになる。彼は広告業界の救世主でもある。

スポーツタレントの価値は、もちろん本業の成績が前提にはなるのだが、インタビューでどれだけ「らしさ」を出せるかが大きなポイントだと思う。同じゴルフの宮里藍などは、まったくそつのない受け答えをするが、そつがなさ過ぎて面白くない。あそこまでいくと、ひとつくらい失言くらいしてもらいたくなるのが大衆というものである。その点、遼クンは感情に左右されるタイプのようで、嬉しさ、悔しさを結構ストレートに表に出す。こういった「人間くささ」も彼の好感度につながっていると思う。スポーツ選手としては未熟なのだが、それも含めて彼の魅力なのだ。

最後にひとつこぼれ話。彼は全国信用金庫協会のイメージキャラクターも務めているが、これは彼の父親が埼玉県の信用金庫に勤務している縁である。たまに旬のビッグネームが地味な会社(団体)の広告に出ていることがあるが、たいてい似たような事情があるようだ。料金もおそらく「身内割引」が適用されているのではないかと思う。

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2009年2月 8日 (日)

シェフの名前は安いか高いか

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スーパーの食品売り場にはたくさんのレトルト食品、インスタント食品が並んでいる。見てみると、有名人の名前を冠したものが結構多い。テレビで見かける有名料理人がカレーにシチューに釜飯にと大忙しである。とくに「鉄人」道場六三郎など、いったいいくつの商品に顔を出しているのか数えたくなってくる。

キャスティングを生業にする者としては、つい思いをめぐらせてしまう。通常、有名人が自分の名前を商品に貸すというのは、イメージダウンにならないように神経質になるものである。しかし、料理人の名を冠したレトルト食品はあまりに多いし、なんとなくハードルが低そうなのだ。高級レストランで一流の食事を作る料理人は、本来レトルト食品とはもっとも遠いところにいるはずの人たちなのに、これはどうしたことか。自分の名前に傷がつくとは考えないのだろうか?

料理関係者の知人にそのことを聞くと、あっさり「あまりこだわりはないんじゃない?」だそうだ。「レストランの料理と同じ味が、300円でお釣りがくるレトルト食品で再現できるわけないだろう」と言い返すと、「だからだよ。レトルトを食べて大したことがなくても、レストランで出すのは別だろうと思うじゃん。それでシェフのことを『見損なった』なんて誰も言わないよ」。身も蓋もないが、言われてみればそうかも知れない。

オーナーシェフも結構大変らしい。レストランの売上だけでやっていければ、料理人がテレビなんて出ないという人もいる。たしかにテレビで名前を売るのは大きなメリットがある。店の宣伝になるし、有名になることで商品に名前を使ってもらったり料理本の企画が持ち掛けられたり、いろんなビジネスが派生してくる。文化人にとって多くの場合、テレビ出演は「本業」の営業活動を兼ねているのである。

ちなみに、レトルト食品などの料理人のキャスティングは、「一個売れていくら」のロイヤリティ契約が多いようである。したがって「○○シェフのカレーは良く売れるが、××シェフのはイマイチ売れない」といった数字で評価され、売れなければ情け容赦なく切られてしまう。名前貸しは楽なようで、自分の価値がはっきり世間に知られてしまう、厳しい現実と背中あわせである。

Michiba

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2009年2月 2日 (月)

危ういアート系/木村カエラ

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誰もがまず名前で「何?」と思うのではないか。「カエラ」などという聞き覚えのない名前は何となくマンガっぽいというか、どこかの少女コミックにでも出てくるのだろうと思っていたら、本名なのだそうだ。フルネームは木村カエラ・りえという。彼女は英国人の父親と日本人の母親のもとに生まれた。

木村カエラは「アート」の匂いがする。それは絵が描けるとか楽器ができるといった実技系の趣味があれば良いというわけではない。実際、油絵を描く工藤静香はアート系という感じではないし、ピアノを弾ける深田恭子もちょっと違う。どこか影があって、元気というよりはやや不健全で、インテリジェンスもちゃんとありそうなのが「アート系」である。生まれつきなのか計算ずくなのか、木村カエラはこういったハードルを見事にクリアして、(私の中では)アート系タレントのポジションに収まっている。

企業が「アート系」タレントを広告に使うメリットは、そのクリエイティブセンスを利用して「コラボ」や「プロデュース」などの企画を立てやすいところだろうか。カエラもまた、CMに出演しているクレラップではカエラデザインの「カエラップ」がプレゼントキャンペーンに使われている。真っ黒のラップで、こんなの欲しがる人がいるだろうか?と思わずにいられないシロモノではあるが…。

彼女を見ていると、ときどきふっと「つまらなそうな」顔をすることがある。「あたし何でこんなとこにいるんだろう」みたいな、デート中の彼氏なら途方に暮れてしまうような表情なのである。彼女はしょっちゅう髪型を変えるが(かなり極端から極端に)、そのあたりも何かいらだちのようなものがあるのかも知れない。天才は怒りっぽい、というのは勝手な持論ではあるが、彼女もそうなのだろうか。いずれにしても、「繊細すぎる危うさ」が、彼女の本質ではないかと思っている。

Kae

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