現役アスリート起用の難しさ
現在進行形のキャスティングで、ちょっと苦労している。クライアントからの要望は「ホームページにスポーツ選手のインタビューを掲載したいので、選手のキャスティングを依頼したい」。と、そこまではいいのだが、「現役選手で」の条件付きなのである。
現役スポーツ選手は何かと広告出演に関して難しい点が多いのだ。要約すると次の3点になろうか。
1.オリンピック選手は協会の規制が多い
今回、クライアントが第一希望にあげたのは昨年の北京五輪に出場したA選手。マネジメント会社に問い合わせてみたところ、先日、A選手はオリンピック協会の「シンボルアスリート」に指名されたとかで、広告契約は見合わせるよう協会から指示が出ているとのこと。じゃあいつ広告解禁になるのかと聞くと、マネジメント会社さえ「分からない」。オリンピック選手のギャラは強化費用に充当するため協会が仕切ることが多く、広告出演は選手の自由にならない場合が多いのである。
2.アマチュア選手の多くはサラリーマン
ほとんどのオリンピック選手は企業に所属しているサラリーマンである。したがって、会社の許可なしに他社の広告への出演はできないわけだが、基本的に彼らは所属企業のイメージキャラクターみたいなものである(ALSOKの井上康生他のCMが分かりやすい例)。選手の所属企業にとって、他社の広告に協力するのはそもそも想定外と思ったほうが良い。
3.プロアマ問わず、シーズン中は競技に集中
ならばプロなら良いかというと、たしかに実業団選手よりは実現性は高いが、シーズン中はまず無理。言うまでもなく、スポーツ選手は試合のない日もトレーニングをしている。試合が近くなると、試合の日にコンディションをピークに持って行くべく、生活すべてを本番に合わせて体調管理しているのである。「ちょっとくらい時間をくれたっていいだろう」というのは部外者の理屈。シーズン中に対応するのはせいぜいスポーツ新聞や雑誌の取材くらい。現役プロスポーツ選手の広告出演や撮影は、ほとんどシーズンオフに行われているのである。よって、スポーツ関係者をお望みならば、現役を引退して評論家となったスポーツタレントをお薦めしたい。彼らは「出ること」が仕事なので交渉もしやすい。
と、ご説明したのだが、クライアントはあくまで現役選手のアイデアを捨てきれないご様子。候補者のリストまで出してこられたので、仕方なく交渉したが当然オールNG。どうしてもとおっしゃるなら、今からプロ選手のオフの予約をとっておくか、今がオフのスポーツを探すしかないですよ。
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