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2008年10月

2008年10月31日 (金)

販促の切札/リラックマ

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人間ではないし、「キャスティング」という言葉はあてはまらないかも知れないが、しかし実写CMでゴクミや田中麗奈と「共演」しているのを見ると、もはやひとつの人格が生まれているようにさえ思えてくる。考えてみれば、キティやミッフィーに明確な性格付けはなされていない。単純に「可愛い」だけの造形である。たれぱんだもぐうたらなイメージはあるが、言葉を発するわけではない。それにひきかえリラックマはしゃべるのである。フキダシはつかないが、つぶやくように言葉を発する。しかもちゃんと敬語が使えるのだから知的レベルも高いのである。

とにかくリラックマ、今や販促のキャラクターに引っ張りだこである。ローソンはコラボ商品も出して「リラックマフェア」を全国展開しているし、伊藤園では商品のオマケの携帯ストラップに使われ、オカモトからは何とパッケージにリラックマがプリントされたコンドームが発売された。なにしろプリントして商品にくっつけるだけで売上が上がるのだから、数字が命の営業部門の人にとっては救世主である。日夜商品の付加価値を高めるべく知恵を絞っている開発部門の人からすれば、「俺の仕事って何なの?」と疑問を抱かせる存在かも知れないが。

リラックマのキャラクター使用の極めつけは、東京都西部を走る立川バスの「リラックマバス」であろう。車体の外側をリラックマでペイントしてあるのだが、それだけではない。車内のシートにもリラックマがだらりんとお昼寝しているのである。オレンジとキャラメル色のリラックマカラーの車内は、ファンならば胸がきゅううんと萌え音を発すること間違いなし。営業帰りのサラリーマンが偶然乗り合わせてしまったらそのミスマッチ感は悲劇であるが、仕事ですさんだ気持ちも少しは軽くなるかも知れない。

こういったキャラクターのキャスティング(?)には、おそらく人間の売れっ子タレントと同じくらいの契約料を払わねばならないだろう。しかし、リラックマはわがままを言わないし、失言してひんしゅくを買うこともないし、突然FAXを送りつけて妊娠したとか休業するとか言いだすこともない。これが実は大きい。「リスクがない」というメリットは、今や何ものにも代えがたい価値なのである。今後不況に入り、広告もいっそう厳しく投資効果が問われるようになると、人間のタレントよりもリラックマのような「安全な」キャラクターが重視されるのではないかと思う。

Kuma

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2008年10月29日 (水)

ドラマ仕立て/市村正親

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最近のCMはストーリーものが多いように思う。もちろんCMであるから「主役」は商品であるのだが、興味をそそるキャスティングや舞台設定で注目を集め、同時に商品を刷り込み、さらに「次」を期待させるのが目的なのだろう。

サントリーが展開している「Diet<生>クリアテイスト」のCMは、ストーリーよりもキャスティングの勝利だと思う。なんといっても市村正親のインパクトが強烈である。どちらかといえばドラマの主役は佐藤隆太と加藤ローサなのだが、話題になるとしたら市村に違いない。これまでほとんど広告には登場しなかったということもあるが、やはり若手二人と並んだら存在感が全然違う。

ところで、最近はネットでCM情報をチェックする人が増えたせいか、ホームページで詳細情報を読んでもらうことを前提にしたかのような、込み入った設定のドラマ仕立てCMも多くなった。「Diet<生>」もそうである。ちなみに佐藤は家具屋の息子、加藤は佐藤の元彼女で、8年ぶりに町に戻ってきた。市村は佐藤の隣人、(なぜか)50歳を過ぎて歌手デビューが決まった。という設定らしい。…そんなもんCMだけで分かるわけなかろう。

もうひとつ、このキャンペーンの注目すべき点は、電車内ポスターなどのグラフィックも非常に優れたクリエイティブだというところである。さすがはサントリー。だれかは分からないが、おそらく腕利きの写真家を使っているに違いない。あえて「70年代風」を意識したかのような佐藤の髪型、加藤や市村の服装も面白い。ポスターは多数のバリエーションがあるが、市村がステージ衣装(思わずRCサクセションを思い出す)でバッティングセンターの打席に立ち、バントの構えをしているものが個人的には好きである。画面の半分を占めるキャッチコピーは「FIGHT」。

CMの中では佐藤と市村は友人でもあるらしく、肩を組んで歩くシーンなどもある。20歳以上(実年齢ではほぼ30歳)も年の離れた友人というのはなかなか想像しにくいが、こういうお茶目なジジイなら悪くない。

Ichi

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2008年10月23日 (木)

夫婦CM/北斗晶・佐々木健介

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人気のあるタレントが一般人と結婚するという話を聞くと、もったいないなあと思う。芸能人同士で結婚したなら夫婦で広告にキャスティングされるチャンスが増えるからだ。いや別に、結婚とは仕事を増やすためにするわけではないだろうし、そういう言い方は嫌われるかもしれないが、まあ商売柄である。あるいは、某大手広告代理店の社員と女優の結婚例が多いことに、多少ひがみが入っているのかもしれない。ああ、言わなくてもいいことを。

夫婦ニコイチで広告によく起用されている有名人というと、ジャガー横田と木下医師(本来一般人だがもはや芸能人)、あるいは北斗晶と佐々木健介だろうか。ともにプロレス関係だが、前者は「インパクト」、後者は「ほのぼの」と、持っているイメージは結構違う。思い起こせば当初は北斗も「鬼嫁」を前面に打ち出していたが、最近はさほどそっちの顔は出していない。もしかすると似たキャラクターのジャガーに対して、北斗は別ベクトル(意外に可愛い)のほうが有利だと考えたのかも知れない。

プロレスラーだからセリフも演技も下手で当然なのだが、北斗夫婦の「トヨタ3年ぶんくださーい」は、佐々木の棒読みぶりまで含めて不思議な味を出している。佐々木が必死で長いセリフを読んでいる横での北斗の心配そうな顔や、佐々木がセリフを言い終わった後に照れてしゃがみ込むところなど、絶対にシナリオではないだろう。俳優の夫婦の笑顔は「作った」ようなわざとらしさがたまに漂うが、北斗夫婦の笑顔は本物に違いない。最近影が薄くなったジャガー夫婦とは対照的に、こちらはまだまだ夫婦モノCMの出演依頼が来ると思う。

Zanka

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2008年10月21日 (火)

理想の父親/トータス松本

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おそらく「男前」と言われるルックスではないが、トータス松本を「カッコイイ」という人は男女を問わず多い。要するに生き様がカッコイイということだろう、「スタイルがある」と言いかえても良いと思う。ブレがないのだ。おそらく彼が好きなものは子供の頃からずっと好きだろうし、10年後も20年後も好きだろう。自分を自分以上に見せようとしない、卑下することもない、いつもありのままの姿で生きている。実際はそうでもないかも知れないが、「そう見える」というのは非常に大切なことである。やっている音楽も好きなジャンルへの傾倒を隠しもしない。だから彼のメッセージはいつも最短距離で胸に響く。

トータスが広告に使われるとき、なぜか「父親役」が多い。娘の写真を撮ろうとする浴衣姿の父(カルピス)、車に乗って普段見せないワイルドな一面を見せる父(VOXY)、北海道の農場を舞台に子供の成長に目を細める父(ハウスシチュー)。決して生活感を感じさせるタイプではないが、「あんなオヤジだったらサイコー」と広告制作者に思わせる何かがあるのだろう。ワタシが子供の頃、音楽でも映画でも子供の好きなものに対して親はまったく無理解であったが、今は親が子にロックやダンスやサーフィンを教えるのが珍しくない時代である。そんな時代の理想の父親はトータスなのかなと思う。

ハウスシチューは2年越しのシリーズとなったが、彼以前のCMで必ずあった雪かきや農作業のシーンは全然なく、北海道の農場の風景はあくまでイメージ的に使われているだけである。おそらくトータスに農場の力仕事は似合わない(というかできない)からだと思うが、どうだろう。もしそうなら、室内の食事シーンでしか違いが出せないので、次作以降がしんどいかもしれない。トータス、次はトラクターに乗るか?

Matsumoto1

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2008年10月19日 (日)

テレビに映らない仕事

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そろそろクリスマスや忘年会の話題が出るようになってきた。最近は事務所の営業活動もあり「芸能人を呼ぶ」ことの敷居が低くなってきたようで、企業のパーティーはもちろん、一般人の結婚式のゲストにすら芸能人が呼ばれることがある。どのような芸能人が呼ばれるのかというと、やはり「盛り上げ役」という役割的、そしてコスト的に見て漫才師やものまね芸人が多い。単価が高くない彼らはこれからが書き入れ時である。「一発屋」と呼ばれて消えていったかに見えた芸人が意外に「食えて」いるのは、こういった「テレビに映らない仕事」があるからにほかならない。

大企業になると、社内イベントのゲストに呼ぶ芸能人もビッグネームになるし、ステージそのものが大がかりになってくる。弊社が今年の春に手伝わせていただいた某大手自動車メーカーの社内イベントもなかなか凄かった。主役は社員であるが、男性司会者、女性アシスタントはともに知名度が高いタレント。ステージセットはそのままテレビ中継ができそうに本格的なもので、全体を仕切っているのはプロの演出家。まるでテレビ番組を貸し切りにしたような印象である。なのに、そんなイベントがあったことは、その会社の関係者でなければほぼ誰も知らないのである。弊社はキャスティングのみのお手伝いであったが、全体でかかっている費用を想像するに、小さな会社の年間の広告費くらいではないか。宣伝目的でもない、社内の行事にこれだけのお金が使えるとは、「やっぱトーキョーはすげえべさ」とため息も出ようというもの。

ただ、サブプライムやら何やら、これから大恐慌以来の不景気がやってくるらしいので、企業が社内イベントに景気よくお金を使えなくなるのは間違いない。しかし、だからといって地味なパーティーでは気分が晴れるはずもなく、ここはやはりタレントを呼んでパーッと盛り上がるほうが福利厚生には良いと思うが、どうだろう。というわけで、総務ご担当の皆様、年末年始パーティーのタレント手配のお問合せはお早目にどうぞ。

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2008年10月17日 (金)

ミスコンテスト/杉山恭子

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女性タレント、とくにモデル系の宣材を見ていて思うのが、「ミス○○」の受賞者がやたらと多いということである。もちろんミスにもいろいろある。「ミス・ユニバース」のような国際的なミス、「ミス福娘」のようなローカルのミス、「ミスマガジン」のようなマスメディア主催のミス、そして今やタレントに最も近いと思われる有名大学の「ミスキャンパス」と、まさに百花繚乱のごとし。さらにそれらの「準ミス」、「ファイナリスト」など範囲を広く取れば、石を投げれば「ミス○○」の勲章を持つタレントに当たる、という状況も分からなくはない。

ところで、世界的に名高いミスコンテストといえば、昨年森理世が優勝した「ミス・ユ二バース」を思い浮かべる人が多いと思うが、そればかりではない。「ミス・ユニバース」以外にもこれだけある。

ミス・インターナショナル
ミス・ワールド
ミス・アジアパシフィック
ミス・アース
ミス・ヨーロッパ

どうりで朝のワイドショーのエンタメコーナーはミスコンテストの話題が多いはずである。「インターナショナル」は「ユニバース」と混同している人もいるだろう。どうでもいいが、「ミス・アース」というネーミングは大げさすぎて何となく可笑しい。

国際的なミスコンテストで日本人が入賞することはまだまだ難しいようだが、それだけに「日本代表」は十分な名誉である。最近メディアへの露出が増えてきた杉山恭子(Kyoco)は、今年の「ミス・インターナショナル」の日本代表である。宣材を見ているだけでくらくらするほど美人である。外国のミスや前述の森理世などは男の視線をはね返すようなパワーを感じるが、彼女はどこかほんわかした、柔らかい印象がある。着物が似合いそうだと思ったら「ミス浴衣」でもあるそうだ。「外国人に負けない」という発想ではなく、違うベクトル、外国人にない要素を持った女性を大会に送るのは戦略として正しいだろう。彼女が世界で評価されることを期待している。

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2008年10月15日 (水)

法令線美人/森脇英理子

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森脇英理子、という名前を聞いて「ああ、あの」と分かる人はかなりの芸能通か、同業者だろう。しかし、CMで彼女の顔を見れば多くの人が「見たことある!」と膝を叩くはずだ。

・生命保険の契約内容確認で職場をまわるセールスレディ(日本生命)
・合コンの席で身を乗り出して医療事務の有利さを訴えるOL(ニチイ学館)
・炊き立てご飯にキムチを乗せてぱくつく女性(エバラ)
・オーシャンビューの結婚式場に立つ花嫁(クレール)
・唇のできものを軟膏で治療する女性(アクチビア軟膏)
・上司が作曲した曲を「これ誰の曲ですか?」と聞く部下(デアゴスティーニ)
…みんな森脇である。業界には「裏CM女王」と呼ぶ人さえいる。

年齢は20代後半、印象はどちらかと言えば地味めである。というと語弊があるか。決して暗いイメージがあるわけではなく、「しっかりしている」、逆に言うと「チャラチャラしていない」。そこからくる安心感が、保険や資格取得など信頼感が求められる広告に起用されている理由に違いない。

印象に残るのは、ちょっと大きめの口である。髪型や化粧によってはすぐに彼女と分からないこともあるが、笑うとすぐに分かる。笑ったときに口の横にくっきり影を作る「法令線」が愛らしい。とくに、照れてやや下を向いてはにかんだときに一瞬「くしゃっ」となる表情は絶品である。女性にはこの線を消したがる人が多いと聞くが、森脇がそんなことを言うとしたら、ワタシは体を張って止めたいと思う。(何様?)

とくに有名でなくとも仕事が集中するというのは、しっかり「プロ」の仕事をしているからだろう。「名前でお客を呼べる」タレントはもちろん貴重であるが、森脇のように「仕事でお客を呼べる」タレントこそが広告の世界を下支えしているのだと思う。

Eriko2

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2008年10月13日 (月)

思いやりねえ・・・

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最近、気になるCMがある。JTの企業CMで、英国に出張した日本人が出てくるやつである。ただ、ここで言う「気になる」はあまり良い意味ではない。

場所はロンドン。大きな荷物を持った日本人男性が建物に入ろうとすると、たまたま先にいた子供がドアを開けて待っていてくれる。一瞬驚く日本人、ナレーションがかぶる。「ロンドンでは、次に来る人のためにドアを開けて待っていてくれる。人を思いやるという習慣が、深く根づいているのだ」。

そこまではいい、「気になる」のはその後である。通してもらった日本人は 「サンキュー」とか言って、すたすた行ってしまうのだ。おいおい、自分はドアを開けて次の人を待ってやらないのか? よく見るとすぐ後にも人が来てるぞ! お前、ロンドンの慣習に感動してるだけかよ!(最後に別の場所でその日本人がドアを開けるシーンがあるにはある)

その後、英国人がドアを押さえて人を通してやる映像がいくつか映るのだが、通してもらった人はみんなそのまま行ってしまう。ドアを開ける人は、さながらドアマンのようにずっとドアを押さえたままである。誰も代わってやらない。思いやりが根付いているなら、ドアを押さえる人は次々変わるはずではないのか? どのカットも絵になっている分やらせっぽさが際立つ。本当にロンドンっ子は次の人のためにドアを開ける習慣があるのか?と検証したい気持ちになる。「世界の果てまで行ってQ」に投稿してやろうか。

だいたい、ロンドンまで行かなくても日本人だって次に来る人のためにドアをおさえて開けるくらいのことはする。偏見かもしれないが、「外国で素敵な体験をした」ことを自慢げに語る日本人には、不当に日本を低く見るタイプが多いように思う。このCMにはそういうイヤミな「洋行帰り」の空気がプンプン臭う。感心しないなあ。

Jtcm

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2008年10月11日 (土)

小動物系/森貴美子

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一昔前、美人に与えられる讃辞に「お人形のよう」というのがあった。目鼻だちが整った、というニュアンスで使われていたと思う。実際、昔のファッションモデルやミスコンテストの入賞者は、顔のパーツを定規で測って正確に配置したかのような美人が多かった。

その流れを変えたのが読者モデルブームだと思う。ため息の出るような完璧な美人よりも、隣に住んでいそうな普通っぽい女の子がモデルとしてメディアに登場し始めた。時代はミスコンテストの優勝者でなくてもすべての女性が「主人公」になることを許容し、そのキーワードとして「美しい」よりも「カワイイ」が尊重されるようになった。

non-noで活躍する「森きみ」こと森貴美子も「カワイイ」を体現するモデルの一人である。彼女を形容するとしたら「お人形」というよりは「小動物」だろう(超失礼)。失礼ついでにどんな小動物かというと、ネズミ、ハムスター、リスのような「げっ歯類」を想像してしまう。実際、non-noはそのタイプのモデルが多い。

女性向け商品の売上を上げたい企業は、彼女たちをCMにも積極的に引っ張り出している。日産の軽自動車Pino(もちろんお菓子のPinoとのコラボ)のCMなどは、「これが車のCMか」とびっくりするような作りであった。森きみを含む3人の女性がPinoの売り場に行くと、なんと自動車がビニール袋に入れられて壁に飾られている。そして彼女たちは「あ、あれください」とばかりにひとつを指差し「お持ち帰り」してしまうのである。車の性能なんて全然説明なし。ある意味「画期的な」車のCMであった。今の「カワイイ」とは何かを知りたければ、そのCMを見れば良いだろう。

ちなみに森きみは立派なパワーブロガーでありインフルエンサーである。自分の言葉で趣味やライフスタイルを語れる彼女は、さながら「カワイイ」の伝道師といったところか。CGMプロモーションにおいて貴重な存在であることは言うまでもない。

Mori

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2008年10月 9日 (木)

みんなの息子/S・レノン

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今年、ホンダの新車種「フリード」の発表がティザー広告により告知された。ティザー広告とは商品をはっきり見せずに関心を高める手法だが、車よりもCMに出ていたひげもじゃの男のほうが気になった。あれはだれなのか。学者ふうの風貌なので、経済学者か都市工学の研究者あたりだろうかと思ったら、ショーン・タロー・オノ・レノンであった。言わずと知れた、ジョンとヨーコの息子である。大きくなったなあ。

ショーンもやはりミュージシャンで、CMのバックに流れる曲は本人作だそうだ。曲調も声の質も親父に似ており、それだけで、ビートルズに入れあげた中年以上のファンは胸が熱くなってしまうだろう。

日本では長島一茂が同じ境遇かも知れないが、ファンはカリスマの息子に親父を超えることをそもそも期待していない。息子の中に親父に似た部分を見つけて、それで満足してしまう。息子にとっては迷惑な話だと思う。だれもが自分を通して親父を見ている、もしくは父親のような目線で自分を見ているのである。初対面の人に「大きくなったなあ」などと言われたら、多感な少年ならグレてしまうかも知れない。

ショーンはとくにグレたようには見えない。その顔はおだやかで、素直そうな人物に見える。体型はややぽっちゃり型、33歳にしては老けているか…。その印象を一言で表すと、やはり「ぼんぼん」だろう。ホンダのHPによると、彼を起用したのは「日本人の母を持ち、幼い頃から日本文化に触れており」車のコンセプトである「日本人にちょうどいい」を伝えるのに最適だから、だそうである。「偉大なカリスマの息子だから」とは、おそらく「あえて」書いていない。

だったら、と意地悪な見方をしてしまう。親父が無名の一般人だったとしても、彼はキャスティングされたのかと(商品名にしたって親父が叫び続けたFreeにちなんでいるし)。ホンダの広告担当者がどう答えるかは分からないが、ショーン本人に聞けば、あの人なつこい笑顔で「そりゃパパのおかげさ」とあっさり言うような気がする。そういった大らかさが彼にはあるように見えるし、それこそが彼オリジナルの価値であるように思える。想像ばかりで恐縮だが。

Solnn

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2008年10月 7日 (火)

193パターンでGO/坂口憲二

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すでに2年越しになる「Roots飲んでゴー」キャンペーンで、ようやくJTも「缶コーヒー会社」として認知されたのではないかと思う。やはりブランディングは統一感とその継続(そしてもちろん資金力)が肝心ということだろう。イメージキャラクター坂口憲二もすっかりRootsの顔である。

少年ジャンプとのコラボ企画もはさみながら、ここ最近のRootsはまたしても坂口を使った「サラリーマンのつぶやきネタ」に走っている。とにかくそのバリエーションの量が半端でない。一体いくつあるのかとHPを見ると、193パターンと書いてあった。

「会議の結論はいつも根性論」
「ここだけの話を誰もが知っていた」
「ひと夏の恋が終わってくれない」

一つ一つにウィットがあって、思わずウマイと言いたくなるものが多い。ここまでキャッチコピーを一度に量産され、さらに本にまでされたらコピーライターが困るのではないか。現在のキャンペーンは駅の看板を中心に展開しているが、下に貼った画像のような「一点もの」としか思えないパターンも存在する(大阪市内のJR福島駅で撮影)。こんなもの、その駅以外では意味不明だろう。しかし一点ものの看板を作るのってコスト的にどうなのか。やはりこんなキャンペーン、資金力豊かな広告主にしかできない。

ふと思ったのは、193パターンもの広告の配置である。ここ数年、広告の流れはインターネット広告を中心により細かいターゲティングに向かっている。要するに、多様な趣味嗜好を持つ消費者に対して、できる限り個別対応に近い「その人にもっとも適した広告を見せる」という発想である。Rootsの駅看板も「ご当地」一点もの看板をはじめとして、「このコピーはこの駅の乗降客にフィットする」という何らかのデータに基づき、綿密な計画のもとに貼り出されたターゲティング広告ではないかということだ。考えすぎだろうか。考えすぎだろう。

ちなみに、「つぶやき」のパターンはそれほど多いにも関わらず、右横で缶コーヒーを飲む坂口の顔はわずか2パターンである。この扱いの違いは、やはりこの看板の主役がキャッチコピーであることを物語っている。負けるな坂口。

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2008年10月 5日 (日)

女子大生プロジェクト

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リクルートスーツの広告キャラクターといえば、戸田恵梨香、松浦亜弥、堀北真希、上戸彩。就活世代に人気の高い女性タレントが「彼女目線」で男子を応援してくれる。実に分かりやすい。しかし各社の足並みの揃い方がなんとなく可笑しい。そこまで横並びでなくてもいいだろう。まさか業界内の会合で「今年はこういう広告でいくように」と決められているわけでもないだろうに、一社だけ目立ったことをしにくい業界なのだろうか。

と、疑問を持ったのかどうか知らないが、戸田恵梨香を使っているはるやまが「女子大生100人プロジェクト」なるものを始めた。戸田のCMも継続しているようなので、イメージキャラクターを女子大生にチェンジするのではないようだ。テレビCMでは女子大生が顔出し、名前出し、学校名出しで大勢登場し、「私たちのこだわりスーツがマジでできるから待っててね~」とメッセージを投げかける。いやはや。今後スーツが完成したらきっと「女子大生が企画したCM」が流されるのだろう。そんな気がする。

こういったCMに使う女子大生をどうやって集めるかというと、大学の広告研究会の力を借りることが多い。広告代理店の社員はそういうクラブの出身であることが多いので、後輩には頼みやすいのだ。あるいは大学の中に「口きき屋」のような学生がいることもあり、「女子大生を××人集めてほしい」というときっちり揃えてくれたりする。もちろん有料であり、女子大生の日当から手数料を抜く者もいる。こういった「ビジネス」で味をしめ、そのまま事業家になる者もいる。

話を戻して、この「プロジェクト」の狙いは何なのだろう。一般の声を集めて開発に生かすのは分かる。「売れるヒントは女子大生にあり」という考えもアリかも知れない。ならば、リサーチをかければすむではないか。メンバーを公募してまで盛り上げる必要があるのだろうか。そもそも、就活男子は女子大生にモテるためにスーツを着るのだろうか。モテたい男子はブランドもののスーツを買うと思うが(それ言っちゃ身も蓋もないが)…。

ならばこれに対抗して、「人事担当者が作ったスーツ」というのはどうだろう。たぶん地味で面白みも何もない商品が出てきそうだが、そちらのほうがロジックとしては通っていると思う。紳士服会社の担当者様、よろしかったら企画書をお持ちしますよ。

Hrym

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2008年10月 3日 (金)

未来の自分に書く手紙

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日本郵便が10月から「未来の自分へ手紙を書こう」というキャンペーンCMを流している。これ、結構好きである。CMでは中高生が自分の暮らしている町や、学校や、海や、山で「未来の自分」に向けて手紙を読む。それだけである。それだけだから、いい。

サイト内のCMギャラリーで、いろいろな中高生が手紙を読む映像をまとめて見ることができる。将来の夢をはっきり語る子がいれば、何も打ち込めるものがないという子もいる。女の子は結婚して主婦になっている姿を描いている子が多い。男はまだ甘いかな。未来の自分に「彼女はできていますか」とか「背が高くなるように頑張る」とか、ほかに言うことはないのか(笑)。よく言われるが、この年頃は女の子のほうが圧倒的に大人だ。中には大人過ぎるというか、「子供の前ではけんかしないで、絶対離婚しないでください」などと言う女の子がいて、ドキッとさせられる。

ともあれ、稚拙であろうが、カッコつけてようが、みんなちゃんと自分の言葉で手紙を書いている。まだ世間というものを知らない彼らを見ていると、気恥かしさとともに胸が小さく痛む。あの頃の未来に僕らは立っているのかなあと、懐かしい歌が頭をよぎる。

一般公募型のキャンペーンだからということはあるが、このCMにタレントを使わなかったのは正解だと思う。普通の、どこにでもいる中高生たちを登場させることで、すべての人が人生という長編ドラマの主人公であることが伝わってくる。望もうと望むまいと、尻ごみしようと挑もうと、人生は続く。続いた結果としての自分がここにいる。

未来のだれかに手紙を書くという企画は、実は何ら目新しくはない。一番最近では北京パラリンピックの閉会式で少女が未来へのポストに手紙を入れる演出があった(らしい。ワタシは見ていないので)。このCMの検索ワードは「未来の手紙」だが、「未来への手紙」で検索すると似た企画がどどっとリストアップされて苦笑(だから「への」にしなかったのか)。優れた広告表現がありきたりな企画を救う事例でもある。

Jp1

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