対談の本質/麻木久仁子
友人の会計士から電話があり、うれしそうな声で相談があると言う。
「広告代理店から電話があってさ、女優の××と対談しませんか?
とか言うのよ。新聞でよくある社長対談みたいなやつらしいわ。
事務所のPRにも良さそうだし、どうしようかなって迷ってるんだけど
広告関係者としてどう思う?」
相談という名の自慢であった。あまりに有頂天なので言うのははばかられたが、やはり友達として事実は伝えねばならない。
「それは広告だから、後からちゃんとお金を請求されるよ」。
世間知らずの士業はこの手のセールスによく引っかかる。気持は分からないでもない。「対談」の持つ魔力と言おうか、本質的には「広告」であっても「対談」と言われると何か違うような気がするものである。今回これから例にあげるタレントや企業は、そういうセールスとは無関係なので混同されないようお願いしたい。
対談広告といえば、やはり「社長対談」だろう。俳優や著名人が企業の経営者と対談し、読者になり代わり話を聞きだすという趣向で、新聞では比較的大きな紙面を割いて掲載される。社長対談のキャスティングでまず考えられるのは、本職のインタビュアーであろう。田原総一郎や竹村健一などジャーナリスト出身タレントはやはり経営者を前にして存在感がある。現場の社員と対談させるなら、ユーザー代表としてタレントを招くのも面白い。ベビー用品ならば新米ママの女優、健康グッズなら少々メタボ気味のタレントを開発担当者に合わせるのはどうだろう。
対談企画をシリーズ化する企業もあり、そのパターンでまず思いつくのは、麻木久仁子を起用した富士通の導入事例紹介である。これは富士通のシステムを導入したさまざまな企業を麻木が訪問して対談し、最終的には富士通のPRになっているという、少々特殊な構図になっている。
しかしこの企画、導入事例の会社は富士通の「お客様」であるから広告費を負担しているとは思えないし、タダで会社の宣伝ができて麻木久仁子と対談できるなんて、おいしいじゃん!おいし過ぎる!対談の最後には必ず導入企業の社員と麻木の記念写真が掲載されているし、もしかしたらこれは、広告の形をした富士通の顧客サービスではないのか?富士通の営業マンは客先で、「当社のシステムを導入いただけたら、麻木久仁子の件も推薦しときますよ」などと囁いているのではないだろうか。冗談だが。
この対談企画、麻木というキャスティングもはまっているし非常によくできていると思うが、ひとつ気になることがある。なんとなくではあるが、毎回写真を撮っているカメラマンが、経営者などを主体に撮っている経済系のカメラマンのような気がするのである。できればファッション系のカメラマンを使って、もう少しキレイに彼女を撮ってもらえないだろうか。ファンからの切なるお願いである。
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